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フィデリオ

「フィデリオ」 2008年11月

2週連続でウィーン国立歌劇場。この日は小澤征爾指揮。オットー・シェンク演出。神奈川県民大ホールで1階25列の左端。6万円。

ベートーベン唯一のオペラとあって、先週のコシとは180度違うのが面白い。なにしろ犠牲的な夫婦愛と勧善懲悪、自由と正義を求めて囚人たちが立ち上がるストーリー。終盤、がんがん盛り上がるオケと、藤原歌劇団も応援した大合唱が、これでもか!というような迫力で、今にも第九を歌い出しそうで、ものすごく楽しかった。

なんといってもオケが大活躍。第二幕第二場への場面展開で、たっぷり聴かせるレオノーレ第三番が素晴らしく大喝采です。レオノーレ役はデボラ・ヴォイト、第二幕から登場するフロレスタン役はロバート・ディーン=スミス。それぞれ伸びやかだった。雰囲気としては、やや悲劇性に欠けるかもしれないけど。堂々として苦悩もある看守ロッコ役のヴァルター・フィンクに、拍手が多かった。

シンプルながら、縦の動きで抑圧と解放を思わせる舞台。オザワは病気の報道もあったけど、休憩を挟んで2時間超を振り切り、カーテンコールで舞台に上った姿に一安心。モーツアルトとベートーベン、ムーティに小沢という、これ以上ない巨匠リレーで、オペラの醍醐味を味わった秋でした…

ウィーン国立歌劇場 ベートーベン 歌劇「フィデリオ」 於:神奈川県民ホール  TOSHIくんのオペラ・落語・読書・映画記録簿

コシ・ファン・トゥッテ

「コシ・ファン・トゥッテ」  2008年10月

ウィーン国立歌劇場、リッカルド・ムーティ指揮、ロベルト・デ・シモーネ演出。東京文化会館で。
A席で1階10列、6万円。かなり前の方の左寄りで、皇帝ムーティの横顔をじっくり眺める。舞台上の歌手とコミュニケーションする感じがわかって、面白かった。舞台に近いせいで、歌手の声の波動が感じられるほどで大満喫。

お話はモーツアルトらしい恋愛のどたばたコメディ。まあ、あり得ない展開なのだけど、「どうせ恋人だって死んじゃうかもしれないんだし」といったあたりの、女性のしたたかさが、時代を感じさせないリアルさで痛快。きらびやかな衣装や半円の壁を重ねる洒落た装置、楽隊を載せた船の登場など、古風な演出も楽しい。ハンマークラビアの伴奏でセリフをつないでいくところが軽快。

歌手陣も素晴らしいキャスト。特にマエストロが信頼するという、フィオルディリージ役バルバラ・フラットリはイタリア魂が炸裂したかのようで、完全に舞台を自分のものにしている感じ。ドラベッラ役アンゲリカ・キルヒシュラーガーも妖艶。二人の堂に入った入浴シーンは、ヴィーナスの絵のようでドキドキしましたね。
男性陣ではグリエルモ役バスのイルデブランド・ダルカンジェロもイタリア人で野性的、フェッランド役テノールのミヒャエル・シャーデは繊細です。狂言回しのデスピーナ役、小柄で溌剌としたラウラ・タトゥレスクと、ドン・アルフォンソ役ナターレ・デ・カローリスも格好良くて安定感があった。

オケ、歌手とも力任せでなく、小さい音がしっかり綺麗に響くのにびっくり。聴かせどころである重唱も見事な調和で、休憩を挟んで3時間があっという間。オペラっていいなあと、堪能しました!Photo

 2008/10/27 ウィーン国立 コシ・ファン・トゥッテ  クラシック音楽、オペラの道を究める!

ムーティ&ウィーン国立歌劇場 来日公演 「コシ・ファン・トゥッテ」  ETUDE

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