「羊と兵隊」
「羊と兵隊」 08年7月
岩松了作・演出の舞台を観る。松竹制作だけど、小劇場の下北沢・本多劇場。1Fの中央の席で6800円。
舞台は、とある洋館。どこの国とも時代とも知れない。「自治区」との闘いに、身代わりの男を長男と偽って、出征させようとする家族。長女も家族を守るため、2世政治家と結婚を考えている。
奇妙なメイクと衣装での、難解なセリフの応酬が続く。「恋する妊婦」では、日常にひそむ何とも言えないイライラ感が印象的だったけれど、今回はもっとずっと緊迫した感じ。身近なものを守るという、ごく当たり前の行為が、どうしようもなく人生を傷つけていく理不尽さ。そんなきりきりした舞台の途中で、意味無くコミカルなダンスシーンがあって、これが結構良かった。
中村獅童さんの抑えた演技が圧倒的。存在感といい、立ち居振る舞いといい。つぶやくようなセリフが、しっかり耳に届く。歌舞伎で鍛えた、ということなのかもしれないけれど、魅力的です。あと、永岡佑さんも要注目、と思いました。