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「アイーダ」

「アイーダ」 08年3月

へ。いよいよ楽しみにしていたヴェルディの「アイーダ」。2万5千円。友人のおかげで、1階正面のいい席で鑑賞できました。

リッカルド・フリッツァ指揮、フランコ・ゼッフィレッリ演出、粟国淳再演演出。10周年記念の一番人気プログラムだけあって、幕間には前芸術監督や大手金融機関の経営者らの顔もちらほら。

上演4時間だけ れど休憩が3回入り、1幕ずつはさほど長くない。古代エジプトは期待通りの華やかさ。ラメダスのマルコ・ベルティが、高音に迫力があってとてもよかった。「清きアイーダ」が見事。アイーダのノルマ・ファンティーニも安定感がある。お楽しみ「凱旋行進曲」ではアイーダトランペットのほか、なんと本物の馬が登場。300人を超す出演者が終始階段状に並び、合唱に厚みがあった。

評判通り、奥行きあるセットは圧巻。手前にあえて紗幕がかけてあるので現実感が薄れ、絵画のよう。3幕ではスフィンクスの大きな頭像が特に幻想的で、「わが故郷」のところでは水が流れていた。4幕には2階建ての舞台がせり上がって、地下牢が現れる仕掛けも。照明がまた美しい。ロビーに模型が飾ってありました。Aida1

これだけの大がかりな舞台の裏側を想像すると、日本でのオペラ公演というものにかける関係者の情熱、「ここまでやるか」という意気込みが伝わってきて、感動しました。

 新国立劇場「アイーダ」  とーるブロ

 新国立劇場「アイーダ」  ちゃむのオペラとバレエ観劇日記

立川志らく独演会 「子別れ」「落語長屋」

立川志らく独演会 08年3月

仕事のあと、銀座ブロッサムに駆けつけ、独演会。3000円で1階右よりの席。ホールいっぱいの人気で、観客の年齢層が広い。山藤章二さんらしき人がいた。

前座なしで、まくらもそこそこに 「子別れ」。上中下と称して、小1時間の長丁場。別れ話に至るところもはしょらず、たっぷりと。まさに立て板に水で、上手だなあと思う。
仲入りをはさんで、後半は志らく作「落語長屋」。古典のいいところをつなげたそうで、「よかちょろ」「二階ぞめき」「湯屋番」「ざる屋」「時そば」「突き落とし」「付き馬」をそれぞれ名人へのオマージュで。だけれどもストーリーはちゃん とつながっていて、「居残り左平次誕生物語」になっているという趣向。なんだかお得です。

全体に、非常に理知的な印象。個人的な好みでは、ちょっと駄目な人間くささがにじむと、もっと好きかも。

立川志らく独演会 3/14  茜のとぉんと来ました

「恋する妊婦」

「恋する妊婦」 08年2月

シアターコクーンで脚本・演出の「恋する妊婦」。9000円。正面のいい席で、近くに俳優の人を見かける。全体に、お芝居好きらしい大人の観客だ。

内容は昨年観た「シェイクスピア・ソナタ」 のベースになったような、大衆演劇一座のバックステージもの。途中、発砲シーンはあるけれど、やっぱり岩松節というか、全体に淡々としている。何かが破滅するとか解決するとか、そうい うカタルシスはなく、見終わってから思い通りにならない「やるせない日常感」が心に残る。私もそういう味わいが、ちょっとわかってきたかも。

座長役の風間杜夫が存在感があって、とても締まっていた。ママの小泉今日子も案外 よく、鈴木砂羽と若い森本亮治がうまく舞台回しをしていた。副座長の大森南朋は、期待していただけにいまいちだったかな。

『恋する妊婦』  柴犬陸ログ 

忌野清志郎完全復活祭

忌野清志郎完全復活祭 08年2月

武道館なんて何年ぶりだろう。年甲斐もなく、待ちに待った完全復活ライブ。入り口で快気祝いの手ぬぐいをもらう。苦労してゲットしたアリーナ席8000円。舞台後ろまでぎっしりで、始まる前からお祭り気分だ。

Kiyosiro2_2 Kiyosiro5 オープニングで大画面に、闘病中のポートレートが流され、衝撃を受ける。髪が抜け、やつれている。撮影した時は、復活できるかどうかなんてわからなかったはずだ。ど んな思いだったのか。けれど映像の中でどんどん元気になって、いよいよ本物が登場したら、すっかり元の風貌。3時間弱元気に唄ってくれて、泣きそう。

冒頭からNICE MIDDLEに新井田耕造が加わったダブルドラムで、前半のソロの代表曲はR&B色が強くノリノリ。中盤「いいことばかりは…」で、ギターを弾きながら格好良くチャボが登場し、一段と盛り上がる。
しかもアンコールの最初に至って、「よぉーこそ」ですよ。これから始まるのか。
すごい選曲だ。遠い昔の学生時代、日比谷の野音でRCを観た感動が蘇る。バンドがはけてから、一人残って弾き語りで「LIKE A DREAM」。そしてお子さんたちから花束。いやー、大音量で立ちっぱなしで疲れたけど、観客が幅広く、30代の普 通のサラリーマン風の人とか、夫婦連れが目立っていて、温かい感じのいいライブでした。

振り返ると清志郎という人は、何かとトラブルが多いし、政治的なメッセージは過激だけど、組織だったチャリティーとかは手がけないし、たぶん側にいたら厄介な人なんだろうな、と想像する。だからこそロックで、ブルースなんだし、感動を呼ぶんだと思う。「座って歌ったりするんじゃなくて、バンドに戻れて良かった」というMCが、胸にしみた。

★追記:09年5月に訃報が届きました。あんなに元気に歌声を聞かせてくれたのに… とても哀しいです。でも、あのライブ空間を共有できて良かった。

忌野清志郎完全復活祭@武道館   golgo139:用件を聞こう……。

1.JUMP
2.涙のプリンセス
3.誇り高く生きよう
4.ダンスミュージック☆あいつ
5.NIGHT AND DAY
6.デイ・ドリーム・ビリーバー
7.いい事ばかりはありゃしない
8.君が僕を知ってる
9.チャンスは今夜
10.ぼくの好きな先生
11.私立探偵
12.多摩蘭坂
13.毎日がブランニューデイ
14.コーヒーサイフォン
15.G・O・D
16.スローバラード
17.激しい雨
18.ドカドカうるさいR&Rバンド
19.キモちE
20.Baby何もかも
21.よォーこそ
22.ROCK ME BABY
23.雨あがりの夜空に
24.LIKE A DREAM

「イーゴリ公」

「イーゴリ公」 2008年2月

大雪のなかNHKホールへ。マリインスキーオペラ「イーゴリ公」。5万円。早めに着いて、外で待たされた間はちょっといらいらしたけれど、高価なせいか、どことなく通の人が多かった感じ。いい席には財界人の姿も。

ワレリー・指揮。エフゲニー・ソコヴニン演出。1階のなかなかいい席。もちろんロシアオペラは初体験です。オー ケストラの迫力、バレエの華麗さは期待通り。有名な「ポロヴェッツ人の踊り」を聴いていたら、なぜかとても切なくて、泣きそうだった。バレエの男性ソロ、イスロム・バイムラードフが綺麗。セットも照明で草原の雄大さを十分感じさせていた。

構成は北京で初演された「2007年ゲルギエフ改定版」。30分の休憩を挟んだ2幕構成で3時間半。通常1幕にあるガリツキー公一味が騒ぐ場面と、留守を守る妻、ヤロスラーヴナの嘆きが3幕、4幕に移り、最後にイーゴリ公が帰還して終わる。ボロディンのオリジナルは未完に終わっているから、変更に抵抗がないのかな。私は初めて観るので、特に違和感はなかったけれど。

歌手は主役イーゴリ公のアレクサンドル・モロゾフ(だと思うけれど)が急 遽代役だったからか、大胆に構成を変えているせいか、あまり声が出ていなくて残念。隣席の男性は全く拍手していなかった。厳しいなあ。
一方、息子ウラジーミル役のセルゲイ・セミーシクルと、脱走を手引きするオヴルール役のワシーリー・ゴルシコーフが、張りがあって良かった。拍手が多かったのは、ヤロスラーヴナのエカテリーナ・シマノーヴィチ。堂々としてましたね。

最後に2011年に会いましょう、と垂れ幕が出て、サービス精神と商魂を感じました。さすがです。

 マリインスキー・オペラ「イーゴリ公」 ちゃむのバレエとオペラ観劇日記

マリインスキー/イーゴリ公  旅の記録

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