「トリスタンとイゾルデ」 2007年10月
NHKホール。ベルリン国立歌劇場引っ越し公演。A席4万7000円で、ピットがのぞける3Fの2列目。指揮バレンボイム、演出ハリー・クプファーという豪華版。パンフが3000円。
ワーグナーは昨年に続き2回目。1時間半ずつ3幕で、幕間が40分ずつ、3時から8時半までという長丁場だったので、事前にはかなり退屈かと覚悟していた。正直、
2幕目の前半は少しだれたけれど、全体に結構音楽にテンポがあって楽しめた。これまでのオペラ体験では一番、オーケストラを聞いた気がする。弦と管楽器が
かけあって、うねるように続く旋律。盛り上がって大見得を切る大音響と、時折まじるクラリネットなどの繊細な独奏。陶酔というのが少し分かる気がした。
歌手で最も拍手が大きかったのはマルケ王のルネ・パペかな。長身のバスで、威風堂々。最近、映画にも出ていたそうです。トリスタンのクリスティアン・フランツも張りのあるテノールで好きな声だけど、なにしろ役柄が1幕目はうじうじしていて前に出てこないし、3幕目はもう瀕死の演技だから、見所として今ひとつなのはしょ
うがないか。イゾルデのワルトラウト・マイヤーがメゾソプラノで落ち着いていて、説得力があったと思う。特にラストの絶唱は神々しかった。
当たり前だろうけれど、それぞれオケに負けない声量と持久力は本物って感じでさすがです。
装置はいたってシンプル。うずくまる巨大な堕天使の像が、少しずつ角度を変えていくだけ。あとは、背後に墓標のようなものとか、じっと動かない人物がいるくらい。照明は抑えめで、陰影の濃い舞台が死に向かうストーリーを印象づ
ける。登場人物の動きは少なく、衣裳もあっさりと地味だけれど、幕切れにイゾルデが天使の羽根に抱かれ、徐々にライトが絞られていく姿は、はかなくて息をのんだ。
幕間ごとにカーテンコールがあり、最後は珍しくオケも舞台に上がって、バレンボイムも何度も出てきて大サービス。3Fは乗りが良く、皆立ち上がってるし、ブラボーの声が多くてなかなか楽しかった。休憩はゆっくりできて、1幕でサンドウィッチとコーヒー、2幕でシャンパンとワイン。著名な官僚や、フジの佐々木恭子アナがいたそうです。
『トリスタン』感激!! オデュッセウスのワグネリアン日記2
すでに今年のマイ・ベスト!ベルリン国立歌劇場 「トリスタンとイゾルデ」 ちゃむのバレエとオペラ観劇日記
ベルリン国立歌劇場来日公演 「トリスタンとイゾルデ」 10/11 gon:nichiroku