志の輔らくご・ひとり大劇場 「バールのようなもの」「八五郎出世せず」「政談月の鏡」
「志の輔らくご・ひとり大劇場」 07年9月
大雨のなか国立大劇場へ。「志の輔らくご・ひとり大劇場」。4500円。
老若男女で満席で、大きな回り舞台を、座布団一枚の存在感で埋めるという無謀なシチュエーションにまずびっ くり。意外にマクラを引っ張らず、「聞かせよう」という気がたっぷりに感じられたのも、この大きさのせいか。
まずは清水義範原作の「バールのようなもの」。ニュースでいう強盗が使った「バールのようなもの」とはバールではないのか。言葉遊びたっぷりで、しかもちょっと間抜けな主人公が、教わったことをそのまま真似してぐちゃぐちゃになるという「落語らしさ」が見事。
出囃子の演奏をはさんで、「八五郎出世せず」。お世継ぎを産んだ妹に大工の兄が会いに行く「八五郎出世」別名「妾馬」だが、結局出世しない八五郎がいなせだ。演技で屋敷の空間を感じさせ、次第に酔っぱらっていくダメ人間ぶりで引き込み、そして家族の情でほろりとさせる。うまいなあ。
休憩の後、たっぷりと「政談月の鏡」。圓朝作の、ほとんど知られていないサスペンス落語だそうだ。小間物屋殺害と、陰謀を察しあえて捕らわれの身となる浪人、別の事件で濡れ衣を着せられる娘。次々と場面が変わる「同時進行ストーリー」を、映像を使った「24」の演出で見せる荒技だ。ちょうど「24」を観ていたので楽しめたし、複雑な筋書き、大勢の登場人物もちゃんとわかって、さすがの演技力。
けれど帰りのタクシー待ちの列では、演出過剰に怒っている男性客が。そういう立場もわかるけれど、小朝さんを経験した私としてはそれほどでもない気がしましたね。ライブの特別感、チャレンジ精神を堪能しました。志の輔さんは、まだまだ観たいなあ。
志の輔らくご ひとり大劇場 千秋楽 茜のとぉんと来ました
志の輔らくご ひとり大劇場/国立劇場/2007/09/13 猫の夜会ライブラリー舞台部
「志の輔らくご ひとり大劇場」 (国立劇場、大劇場) 身の周りの歳時記
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