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<title>coco2のバスタイム読書</title>
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<description>お風呂でよく本を読みます。そこでバスルームからお奨め本をお届け！
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<title>福音派</title>
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<description>困難な状況のなかで、「再びアメリカを偉大に！」という呼び声は、多くの米国人に希望...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><strong>困難な状況のなかで、「再びアメリカを偉大に！」という呼び声は、多くの米国人に希望を与えることができたのだろう。その希望を作り出し、そのレトリックを紡ぎ、その運動を組織するなかで、福音派という宗教政治団体が誕生したのだ。そして彼らの中心にいて、その主役を務めたのが、観客に夢と希望を与えたハリウッド黄金時代の俳優ロナルド・レーガンだったことは、皮肉なのか、神の摂理なのか。</strong></p>
<p>「福音派ーー終末論に引き裂かれるアメリカ社会」加藤喜之著（中公新書）</p>
<p>大国だったはずのアメリカはなぜトランプを選んだのか、これからどこへ向かうのか。今更ながら背景の一端を知るべく、2025年に話題だった新書を手にとった。思想史、宗教学の研究者が、1920年代から現在までの福音派「成り上がり」の足跡を丹念にたどる。通奏低音として流れるのは「トランプ信仰」の異様さ、政治的に中立な宗教がなくなり、公共圏が終末論に彩られることへの強い疑義だ。</p>
<p>研究者らしく膨大な史料を駆使していて迫力がある。多数の宗教者、活動家たちについて、経歴、主張はもちろんメディア戦略や公的資金の確保に至るまでを網羅。福音派が世論と政治を動かすようになった過程を詳らかにする。大きなステップになったのが、レーガンが勝利した1980年大統領選だったという。<br />時代状況はスキャンダルが招いた政治エリートへの不信、インフレによる経済の沈滞、都市の治安悪化。自分たちの社会を救うには、司法や教育、文化などすべてをもっと「キリスト教的」にしなければならない…　悪状況を見当違いの処方箋で紛らそうとするような、既視感を覚える光景。</p>
<p>ジョージ・W・ブッシュは1984年に回心を語って飲酒癖を浄化し、「神は私が大統領選に出ることを願っている」と2001年に当選、福音派に黄金時代をもたらした。そのブッシュを架け橋として福音派はネオコンと結びつく。思想的な共通点がほとんどないにもかかわらず、中東での権益確保などで利害が一致し、イラク戦争の推進力となっていく。<br />戦争といえば、トランプ政権の中東政策の変節にも、福音派の支持が影響している。著者は結局のところ、終末論を信奉する福音派はユダヤ人がエルサレムを支配することを望むだけで、中東和平は眼中にないと指摘する。<br /><br />著者が淡々と紹介していく福音派の言説には、科学の否定とか家族観とか、何故支持されるのか理解しがたい過激なものも少なくない。それでもメディアを進化させて、大衆に浸透してきた。単にテレビ番組をつくるのではなく放送局を経営し、映画や書籍を世に出し、郊外のメガチャーチに2000人を超える信者を動員する。SNS活用も付け焼き刃ではない。<br />なかでも驚いたのは、南部、南西部に店舗が多い世界最大の小売業ウォルマートが、90年代から福音派関連の書籍やCD、ビデオを扱って売上高を伸ばしたというエピソードだ。当時のキリスト教連合の指導者ラルフ・リード（のちに選挙コンサルとしてブッシュ陣営に参画）はボランティアたちに対し、賛同者を募るなら土曜のウォルマートがいいと勧めたという。<br /><br />重要なのは善悪二元論にたつ福音派には、対立する相手をサタンとみなす傾向があり、リベラリズムに不可欠な対話や妥協を困難にするという分析だ。公共圏が前提とする公共善の破壊。福音派の数そのものより、二元論にたつ手法の破壊力を見せつけたことこそが、民主主義の脅威だという著者の危機感は重い。（2026.7）</p>]]></content:encoded>



<dc:creator>twicoco2</dc:creator>
<dc:date>2026-07-28T00:00:00+09:00</dc:date>
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<item rdf:about="http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/07/post-e9e0ba.html">
<title>相撲の力学</title>
<link>http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/07/post-e9e0ba.html</link>
<description>同じ体重でも軽く感じる力士もいれば、体重以上に重く感じられる力士もいます。「重さ...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><strong>同じ体重でも軽く感じる力士もいれば、体重以上に重く感じられる力士もいます。「重さ」は「力」ですから、大きさと方向性を持っています。重力に抗う動きや肩に力みがあると、地球の中心に向かっている「力」を打ち消し、かつ方向がずれてしまうために軽くなります。</strong></p>
<p>「相撲の力学」松田哲博著（BABジャパン）</p>
<p>著者は琉球大理学部卒業後、若松部屋（現高砂部屋）に入門し、史上初の国立大出身力士・一ノ矢として2007年まで24年間、現役を務めた異色の人物。現在はマネージャーとして部屋の運営にかかわりつつ、カルチャーセンターなどで相撲の稽古をベースにした独自の「シコトレ」を教えており、本書は武道専門誌「月刊秘伝」の連載をまとめた。そんな雑誌があるなんて知らなかったぞ。<br /><br />相撲中継を見ていると解説者の親方が「腰が重い」とか「懐が深い」とか言うけれど、いまひとつよくわからない。本書では日本相撲協会の資料映像などを駆使して、明治の第19代横綱・常陸山や、不滅の69連勝を誇る昭和の大横綱・双葉山などの名勝負、強さの意味を探る。<br />重力とか相転移とか、作用反作用といった用語、はてはニュートン、アインシュタインも出てくる。けれどもちろん物理学の分析ではなく、現場の直感を語っていて平易。大横綱は踏ん張る筋力やスピードではなく、ちょうど吊られた丸太のように力を抜いて体重をかけ、足を小刻みに動かして波のように、あるいは回転力で相手を倒す、という表現はわかりやすい。<br /><br />双葉山人気が高まって観客を収容しきれず、1937年から11日興行が13日制に、翌々年に15日制になったとか、エピソードも満載。本当にお相撲が好きなんだなあ、とにやけちゃう。（2026.7）<br /><br /></p>]]></content:encoded>


<dc:subject>作家名・ま</dc:subject>
<dc:subject>ノンフィクション</dc:subject>

<dc:creator>twicoco2</dc:creator>
<dc:date>2026-07-05T00:00:00+09:00</dc:date>
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<item rdf:about="http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/06/post-68ba38.html">
<title>地域と人口減少の経済学</title>
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<description>派手な政策は存在したとしても、特定の地域が独自の資源を生かして成功した例が多く、...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><strong>派手な政策は存在したとしても、特定の地域が独自の資源を生かして成功した例が多く、他の地域が簡単に真似できるようなものではない。</strong></p>
<p>「地域と人口減少の経済学」小峰隆夫著（中公新書）</p>
<p>日本を代表するエコノミストである著者が、ライフワークの人口と地域について、定評のある易しい筆致で論じた。分析と主張はいつも通り。人口1億人目標の政策立案は不可能、一極集中是正は間違い、従ってウェルビーイングを維持するスマート・シュリンクを目指すべし。自治体選挙のたび空疎な少子化対策合戦に触れているだけに、深く頷く。<br /><br />面白いのは、独自のアイデアで成功し、ほかの自治体から多くの見学者が訪れるような地域施策を「劇場型」と名付け、普遍化できないのでは、と疑問を呈していること。高山市、境港市、海士町…　なるほど。<br />これに対して提唱するのは、地道だけれど経済学の道具を取り入れ、どこでも応用可能な「共有型」の地域政策だ。中身はナッジやフューチャー・デザインの応用で正直、新味は薄い。それでも、人口が減ったら経済が縮むとは限らない、という一貫した論理には、読んでいて希望がもてる。<br />もちろんスマート・シュリンクは、必要性を理解していても当事者にとっては辛いから、実行が難しい政策だ。著者も官僚出身とあって、そこは重々承知。岡山県美咲町の事例を紹介しつつ、とにかく自由な人の移動を妨げないことこそが重要、と強調している。<br /><br />多くの著書があるけれども、あとがきによると意外にも中公新書は初だとか。学生時代から読んでいるので嬉しい、と率直に記している。チャーミングな人です。（2026.6）</p>]]></content:encoded>


<dc:subject>作家名・か</dc:subject>
<dc:subject>ノンフィクション</dc:subject>

<dc:creator>twicoco2</dc:creator>
<dc:date>2026-06-18T10:43:01+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/06/post-91e5b0.html">
<title>僕には鳥の言葉がわかる</title>
<link>http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/06/post-91e5b0.html</link>
<description>”動物はしゃべらない”という二千年以上にわたる史上最大の誤解を解き、井の中の蛙化...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><strong>”動物はしゃべらない”という二千年以上にわたる史上最大の誤解を解き、井の中の蛙化した人類を救うため、僕は立ち上がったのだった。</strong></p>
<p>「僕には鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴著（小学館）</p>
<p>現場をもつ研究者のエッセイは楽しい。「微生物ハンター深海を行く」とか「バッタを倒しにアフリカへ」とか、好きなテーマに打ち込む喜びと、凡人の想像を超える日々の格闘に引き込まれる。<br />2025年に話題となった本書はひときわ斬新、爽快だ。なにしろ著者は1983年練馬区生まれの東大准教授で、初めて動物が言葉を話すことを突き止め、動物言語学を開拓して様々な賞を受けている。しかも語り口が軽妙このうえなく、全編、研究対象であるシジュウカラへの愛に満ちている。</p>
<p>過程は地道そのものだ。毎年、半年以上もひとり軽井沢の森にこもり、朝から晩まで巣箱を観察する日々。シジュウカラが危険な森で生き残るため、タカをみれば「ヒヒヒ」、ヘビをみれば「ジャージャー」と鳴くのは、当然タカやヘビという「名詞」だと思っていた。ところがある日、大学図書館の専門書で「言語を持つのは人間だけ」との記述をみつけて、がぜん奮起する。<br />調べてみるとダーウィンも紀元前のアリストテレスも、動物の鳴き声は意味ある言葉ではなく、快・不快など感情の表現に過ぎないと思い込んでいた。このままでは人類は井の中の蛙だ、僕はカエルが好きなので人類が蛙でも問題ないけれど、井の中なのは大問題、井戸にいてよいのはオタマジャクシまで！　そこからシンプルな双眼鏡とレコーダー、なにより独自のアイデアを武器に観察、論証を積み重ねていく。<br />論文は一流学術誌の審査員が「エレガント!！」と絶賛、こんなに誉められたのは初めてで、それからしばらく「エレガント鈴木」と名乗っていたとか。その後も20以上の単語を組み合わせて文を作っている等々、驚きの成果をあげている。<br /><br />同じ場所に住んでいるなら、ほかの種類の動物の言葉を認め、生きていくのが動物として自然なこと。シジュウカラが「ヒヒヒ」と鳴けば周りのコガラやヤマガラも、リスまでも薮に逃げる。人類の祖先も鳥の言葉を理解していたのに、いつしか自然を支配する特別な存在だと自認して動物たちの言葉を理解できなくなったのでは…という思索は示唆に富む。<br />研究すること、研究者であることをめぐるエピソードも愉快だ。博士になったころ、周りからおしゃべり好きな点などがシジュウカラに似ていると言われると嬉しく、年々、よりシジュウカラっぽく変化していると自覚。そこから先輩の話になり、コウモリ研究者のスギタさんは暗闇でパソコンに向かうと落ち着くそうで、その「生態」はコウモリそのものだとか、笑っちゃう。</p>
<p>電子書籍の本文中にリンクを埋め込み、「ツツピー」といったさえずりを聴かせる仕掛けが秀逸だ。紙版は二次元コードで、同様に実際の声を聞ける。著者による本文中の可愛いイラスト、図解も達者。装丁は名久井直子、青を基調にした装画は100％ORANGE。河合隼雄学芸賞など受賞。（2026.6）</p>]]></content:encoded>


<dc:subject>作家名・さ</dc:subject>
<dc:subject>ノンフィクション</dc:subject>

<dc:creator>twicoco2</dc:creator>
<dc:date>2026-06-03T23:00:00+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/05/post-51941f.html">
<title>絢爛のロックショー、クイーン追想録</title>
<link>http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/05/post-51941f.html</link>
<description>クイーンがブレイクのきっかけを掴んだ1974年に、時を同じくして人気を呼んでいた...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><strong>クイーンがブレイクのきっかけを掴んだ1974年に、時を同じくして人気を呼んでいた少女漫画『ベルサイユのばら』が宝塚歌劇団によって舞台化され、大きな社会現象になった。これは偶然の一致だろうか。</strong></p>
<p>「絢爛のロックショー、クイーン追想録 〜二代目ディレクターの独白〜」<span>松林天平著（シンコーミュージック・エンタテイメント ）</span></p>
<p><span>世界で最も成功したバンド、クイーン。西荻窪「アナログ天国」でトークショーを聴いた松林天平による追想録を読む。著者は1975年から1982年までワーナー・パイオニアでクイーンを受け持った洋楽ディレクターだ。<br /><br />まず最もレコードが売れた1970年代、洋楽黄金時代の熱気が楽しい。著者は強烈にクイーン人気を支えた「ロック少女の誕生」を、ヨーロッパ文化への憧れという文脈で読み解いていく。そして天性の「歩くショー・ビズ」、フレディがいかにシャ－リー・バッシーやライザ・ミネリの影響を受けていたか。<br />音楽的な分析も忘れていない。例えば1979年「クイーン・ライヴ・キラーズ」でいったん頂点を極めたバンドが、大胆にも1980年「ザ・ゲーム」の「地獄へ道連れ」でシンセやディスコサウンドに舵を切り、見事に全米ヒットを記録するうえでのジョン・ディーコンの貢献。来日時にふたりで六本木のディスコを訪れたとき、ジョンがかかっていたボズ・スキャッグス「ロウダウン」のリズムの工夫を指摘するエピソードが印象的だ。<br /><br />随所に散りばめられた、洋楽ディレクターとしての喜びと苦労は泣ける。ロンドンブーツ姿で受けたアルバイト試験にパスし、あっという間にクイーンを担当。その魅力とケタ違いのパワーに惚れ込む一方で、来日時に広報担当に散々振り回されたり、1978年「ジャズ」のアートワークに疑問を感じたりもする。だからこそ、邦楽プロデューサーに転じてからの1984年、香港のレコード店でスタジアム・ロックの名曲「レディオ・ガ・ガ」を耳にし、すべての音楽ファンの心に刺さるフレーズに「町で偶然旧友に会ったような」感慨を抱くシーンが美しい。「ありがとう、クイーン。わたしはあなたに借りがある。そしてわたしには決して返せそうもない」。音楽っていいなあ。（2026･5）</span></p>]]></content:encoded>


<dc:subject>作家名・ま</dc:subject>
<dc:subject>ノンフィクション</dc:subject>

<dc:creator>twicoco2</dc:creator>
<dc:date>2026-05-28T23:00:00+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/05/post-1bc58c.html">
<title>イン・ザ・メガチャーチ</title>
<link>http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/05/post-1bc58c.html</link>
<description>　不思議だ。　何だか、少し眩しい。　本質的であることから遠く離れた場所で盛大に咲...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><strong>　不思議だ。</strong><br /><strong>　何だか、少し眩しい。</strong><br /><strong>　本質的であることから遠く離れた場所で盛大に咲き誇るその連帯が、今の俺には光って見える。</strong></p>
<p>「イン・ザ・メガチャーチ」朝井リョウ著（日経BP･日本経済新聞出版）</p>
<p>2026年本屋大賞受賞で話題の長編を読んでみた。推し活界隈を題材に、正解のない時代を生きる人々が、懸命に「コミュニティー」「ストーリー」を追い求める心理、危うさを描く。それは普遍的で、しんと淋しく、だからこそ切実だ。<br /><br />一読して印象的なのは、440ページを引っ張る巧さだ。導入こそ、交代で登場する人物3人の語りがまどろっこしかったものの、視点が徐々に重なっていくとスリリングに。レコード会社勤務で40代の慶彦は経理部署で腐っていたけれど、ボーイズグループのデビューにあたり仕掛け人に抜擢されて張り切る。その娘で留学を目指す大学生・澄香は意識高い系の友人たちについていけず、推し活にのめり込む。30代契約社員の隅川絢子は熱心に推していた2.5次元俳優の死で喪失感にとらわれ、怪しい陰謀論に傾斜していく…<br /><br />推し活のリアルを描く情報量が、また豊富。サバ番、タグイベ、スパチャ、グッズコンプ、脳みそを溶かす、自他の境界を溶かす、視野狭窄…　米国の大規模教会が献金を引き出す手法が、最新のSNSと結びついたマーケティングは、ちかごろは選挙でも話題のものだ。スターシステム自体は歌舞伎の昔からお馴染みだけれど、なんて巧妙で、進化していることか。<br />音楽業界の裏とか学生同士の人間関係と合わせ、あまたの情報をかみ砕いて、小説として成立させる腕がなかなか。説明調になりがちなシーンでは、とうとうと語る人物の長広舌と、その場にいて違うことを考えている人物の脳内が交錯する、映像的な手法を駆使し、決して飽きさせない。才人だなあ。<br /><br />3人それぞれが抱える寄る辺なさ、孤独や劣等感や経済的困窮も丁寧に描いていて、そのあたりはなんとも息苦しい。もともとの新聞連載で1年3カ月にわたって読んでいたら、けっこうヘビーだったのでは。誰にでも共感できるくだりがありそうで、そこが人気の秘密なのかも。<br />たとえ愚かにみえたとしても、はまるにははまるだけの、個人の思いがある。依存、閉塞、歪みと名付けるのは易しいけれど、高みにいる正しさではなく、はまる自分、はまる充実感を肯定した先に、何かが見えてくるのなら…</p>
<p>著者は1989年生まれで、2013年に平成世代初で直木賞を受賞。よく勉強し、よく考えている作家だなあ。本屋大賞受賞スピーチで「自分が絶対に書かない作品、書けない作品の隣に並べてくれているから、自分の偏りを大事にできる」と言ったとか。往年の村上龍を思わせる賢さ。ちなみに自身はハロプロファンらしい。ネット情報だけど。（2026.5）</p>]]></content:encoded>


<dc:subject>作家名・あ</dc:subject>

<dc:creator>twicoco2</dc:creator>
<dc:date>2026-05-17T08:41:18+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/05/post-8892f5.html">
<title>木挽町のあだ討ち</title>
<link>http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/05/post-8892f5.html</link>
<description>役者が見得を切った俊寛に、ずらっと並んだ大入りの客が目を見開いて口をあんぐり開く...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><strong>役者が見得を切った俊寛に、ずらっと並んだ大入りの客が目を見開いて口をあんぐり開くだろう。それがまるで花が咲いたみてえなのさ。それを見たくて俺は芝居小屋なんていう悪所に居座っているんだろうねえ。</strong></p>
<p><span style="color: #333333;">「木挽町のあだ討ち」永井紗耶子著（新潮文庫）</span></p>
<p><span style="color: #333333;">2023年直木賞・<span>山本周五郎賞ダブル</span>受賞作をようやく。大衆文化が花開いた文化・文政のころ、ある雪の夜。江戸・木挽町の森田座近くで見目麗しい若衆・菊之助が、鮮やかに父のあだ討ちを成し遂げ、芝居もどきと評判をとった。二年後、菊之助の縁者を名乗る総一郎が、目撃した者たちにあだ討ちの経緯を尋ねて回る。</span><br /><br /><span style="color: #333333;">あだ討ちの謎解きよりむしろ、順に証言する芝居小屋の裏方たちが、身の上を語って魅力的だ。なかでも戯作者で、粋な金治。旗本の次男坊で呑気に放蕩していたが、虚無感にとらわれちゃう。かつて親に言われるまま、あてにしていた婿入りを、ある事情から破談にして退路を絶ち、「楼門五三桐」などの作者・並木五瓶に弟子入り。やさぐれた雰囲気だけど、人情に厚く気っ風が良い。</span><br /><span style="color: #333333;">ほかにも吉原生まれで口が達者な木戸芸者やら、浮浪児で小塚原の隠亡に拾われた女形の衣装方やら。芝居小屋の外見はとびきり華やかだけれど、遊郭と並ぶ悪所として蔑まれている。そこは世間からはみ出た者の哀しい吹きだまり。だからこそ力を合わせ、全力で見物客を楽しませるし、客は存分に刹那の夢にひたれる。菊之助を助ける思いに説得力を与える、この「グレイテスト・ショーマン」のような陰影と、なけなしのプライドは、ショービジネスの神髄と言えるかもしれない。</span><br /><br /><span style="color: #333333;">巻末の特別エッセイはショーアップした時代劇で知られる「劇団&#x2606;新感線」座付作家の中島かずき。2005年歌舞伎化、2006年に映画化。（2026/5）</span><span></span></p>]]></content:encoded>


<dc:subject>作家名・な</dc:subject>

<dc:creator>twicoco2</dc:creator>
<dc:date>2026-05-03T23:50:44+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/04/post-4b78cf.html">
<title>成瀬は都を駆け抜ける</title>
<link>http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/04/post-4b78cf.html</link>
<description>「絶対に天国からおばあちゃんも見てくれてたわ」「だといいのだが」　あかりの受け答...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><strong>「絶対に天国からおばあちゃんも見てくれてたわ」</strong><br /><strong>「だといいのだが」</strong><br /><strong>　あかりの受け答えを見て、改めて成長を実感する。もっと前のあかりだったら「死んだらテレビは見られないだろう」と答えたはずだ。</strong></p>
<p>「成瀬は都を駆け抜ける」宮島未奈著（新潮社）</p>
<p>痛快ヒロイン、成瀬あかりシリーズの3作目にして完結編。京大生になっても成瀬は相変わらず。迷いなく淡々と目標に向かって邁進し、周囲を明るく照らして爽快だ。</p>
<p>高校時代から成瀬を慕う西浦が、冬休みの1日、成瀬といてその多忙ぶりに舌を巻く。階段駆け上がり大会やけん玉の練習、配信出演、献血… でもマイペースなだけではない。失恋をひきずる坪井を励まし、ぼきののかのYouTubeチャンネルに出演して失策を挽回させる。そんな成瀬の成長を見守る、似たもの同士の母の感慨が泣かせます。</p>
<p>自身、京大文学部出身の著者が描く学生の日常もお楽しみ。森見登美彦が好き過ぎて、同好の士と鍋を囲む男子たちなど、傑作だ。これで完結は寂しいけれど、成瀬には永遠の少女でいてほしい気もする。連作6編の半分は書き下ろし。(2026.4)</p>]]></content:encoded>


<dc:subject>作家名・ま</dc:subject>

<dc:creator>twicoco2</dc:creator>
<dc:date>2026-04-25T23:00:00+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/04/post-caf780.html">
<title>ユニクロ</title>
<link>http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2026/04/post-caf780.html</link>
<description>社長室があるという最上階まで階段で上っていくと、目に飛び込んできた光景にあっけに...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><strong>社長室があるという最上階まで階段で上っていくと、目に飛び込んできた光景にあっけに取られた。</strong><br /><strong>　30坪ほどのフロアに置かれた大きな執務机を取り囲むように、壁いっぱいに本が並んでいた。</strong></p>
<p>「ユニクロ」杉本貴司著（日経ＢＰ）</p>
<p>すたれゆく石炭の町の商店街、家族経営の紳士服店。ありふれた零細企業と、東京でふらふらしていた跡取り息子が、いかにしてアパレルビジネスを革新し、3兆円規模のグローバル企業へと駆け上がっていったか。<br />柳井正という希代の経営者の発想とガッツ、500ページ近い関係者への膨大な取材量に圧倒される。とはいえ本書を読み通しても、成功の源がいったい何なのかは、それほどわかりやすくない。柳井はぶっきらぼうで厳しくて内省的。決してカリスマとは思えないし、成長軌道に乗ってからも海外展開、労務問題などでたびたび躓いちゃう。<br /><br />印象的なのは会計士、安本隆晴が語る初対面シーンだ。1990年、電話で上場指導を依頼され、無名だけどいちおう実在しているらしい、久しぶりに飛行機に乗るかと、軽い気持ちで柳井と面談して圧倒される。世界の企業経営を熱心に研究し、「1997年に日本を代表するファッション企業になる」と断言。安本もそれを絵空事と思わず、真正面から受け止めたのだから慧眼だ。メーン地銀との衝突など、はらはらする局面を乗り越えて上場を果たし、監査役として長く伴走することになる。<br />柚木治のストーリーも興味深い。伊藤忠商事での油田開発といった華やかな経歴をひっさげて1999年に入社。自信満々に野菜販売を提案して大失敗する。辞表を出すと柳井は激昂するでもなく淡々と、26億円も損してお先に失礼しますはないでしょと、幹部100人の前での説明を求める。まさに針のむしろだが、そこからダメな自分を受け入れて傲慢や絶望を脱し、GU再建を託されていく。失敗した柚木君のほうがいい、10倍返しじゃなく100倍返ししろと。<br /><br />決してマニュアルとして真似できる経営指南ではないだろう。それでも、いずれかの一節が次世代の心に残るならと、ちょっと明るい気持ちになる1冊だ。お馴染み佐藤可士和のロゴの装丁がお洒落。（2026.4）</p>]]></content:encoded>


<dc:subject>作家名・さ</dc:subject>
<dc:subject>ノンフィクション</dc:subject>

<dc:creator>twicoco2</dc:creator>
<dc:date>2026-04-12T23:00:00+09:00</dc:date>
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<title>乱歩と千畝</title>
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<description>「あんた謎と共に生きとる。江戸川乱歩が尊敬される作家としてここにいれる。謎の中の...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><strong>「あんた謎と共に生きとる。江戸川乱歩が尊敬される作家としてここにいれる。謎の中の謎や」</strong><br /><strong>「金田一耕助はこの謎を解いてはくれないか」</strong><br /><strong>「明智小五郎に頼まんかい」</strong></p>
<p>「乱歩と千畝」青柳碧人著（新潮社）</p>
<p>探偵小説の巨匠と「命のビザ」で知られる外交官。全く接点がなさそうな二人が、もし学生時代に出会っていたとしたら。そんなアクロバティックな設定で、明治末期から昭和に至る日本の群像を、生き生きと描く大河小説だ。<br />江戸川乱歩と杉原千畝が、実は旧制の愛知五中（瑞陵高）、早大の先輩後輩という一点から、壮大なフィクションを紡いでしまう構想力が凄い。史実もふんだんに散りばめられていて、日本外交では広田弘毅や松岡洋右といった大物が登場。激動の国際情勢に翻弄され、苦闘し、やがて敗戦へと転がり落ちていく。一方のエンタメ小説界では横溝正史やら松本清張やら、誰しも一度は読んだ面々がひたすら面白い物語を求めて切磋琢磨する。<br /><br />なんといっても江戸川乱歩の人物像が魅力的だ。転職14回、転居46回というダメ人間で、めちゃめちゃマイナス思考。売れっ子作家になっても何かと言えば自己嫌悪に陥り、失踪、休筆して迷惑をかけまくる。それでもエログロから少年向けまで、書けば売れる才能を周りが放っておかない。今でもケラさんの芝居とかに、オマージュを感じる存在だものなあ。<br />そもそも乱歩自身が探偵小説オタク。社交性ゼロなんだけど、多くの海外作品を紹介し、山田風太郎ら若い作家を引き立ててて、日本にミステリーというジャンルを築いた功績に驚く。戦後初の探偵小説誌「宝石」に<span>横溝正史「本陣殺人事件」の批評を寄せて、美しく見事なトリックに感嘆したからこそ、あえて厳しく不満をぶつける。これが大勢の次世代の作家たちを奮い立たせるくだりが痛快だ。<br /><br />一方の千畝は対照的に、優秀で努力家で誠実。数少ないロシアスクールで、ハルビン領事館、満州国外交部やヘルシンキの公使館に赴任する。情報収集が仕事だから現地に溶け込むものの、いざとなれば国益優先で内面は複雑。読んでいて息苦しい。今も昔も外交官が背負う宿命だろう。<br />葛藤の頂点はリトアニアのカナウス領事代理として、押し寄せるユダヤ難民のため腱鞘炎になりながら発給した大量のビザだ。政府の方針に反していたから戦後は外交官を続けられず、公式な名誉回復は実に没後の2000年だった。外交のプロが戦時下に、国益も民族・宗教も関係なく、ただ目の前の困っている人を救うという行為がいかに深刻な逸脱だったか。のちのち国際的に評価されても言葉少なく、「当たり前のことをしただけです」と繰り返したという逸話が重い。<br /><br />乱歩と千畝の軌跡は作中、ときに交差するけれど、濃密な友情物語とはいえない。決してヒーローではなく、不完全な二人が遠くにあって、互いにふと思い出す。特に終盤、そのあたりが物足りないという評もあるみたいだけど、感動を盛り上げ過ぎない描き方に好感がもてる。（2026.4</span><span>）</span><span></span></p>]]></content:encoded>


<dc:subject>作家名・あ</dc:subject>

<dc:creator>twicoco2</dc:creator>
<dc:date>2026-04-07T18:19:37+09:00</dc:date>
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