「新参者」
俺はまだ異動してきたばっかりで、正直いうとこのあたりのことをちっとも知らない。それでまず街を観察することから始めているわけだ。
「新参者」東野圭吾著(講談社) ISBN: 9784062157711
江戸風情を残す東京・人形町。所轄に異動してきた刑事・加賀恭一郎が、ある殺人事件の謎を解く。
巧いなあ。ひたすら観察する者、加賀の繊細さが魅力的だ。注意深くて、人の気持ちがよくわかる。だから事件関係者のささいな行動を何一つ見逃さず、こつこつと真実に近づいていく。
9章まで1章ごとに、決して大仰ではないけれど泣かせる人間ドラマがあり、それぞれ短編として十分に楽しい。そしてすべてがジグソーパズルのピースをはめるようにすっきりとつながって、最終章の謎解きに至る。初出は月刊誌での連載。今さらだけど、読みやすさと構成力は並大抵でない。
加賀が歩き回る人形町の情景が、全編を味わい深くしている。聞き込み先にいちいち、おせんべいやら人形焼きやらを手土産を持っていくのが微笑ましい。個人的には、女将が格好良い「料亭の小僧」が好みかな。
…と感嘆していたら「このミステリーがすごい!2010年版」(宝島社)で国内1位に。思えば「白夜行」があり「容疑者Xの献身」があり、なおこうして支持される本を書き続けるのはさすがだなあ。(2009・12)
「新参者」東野圭吾 しんちゃんの買い物帳
東野圭吾/「新参者」/講談社刊 ミステリ読書録
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