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June 18, 2026

地域と人口減少の経済学

派手な政策は存在したとしても、特定の地域が独自の資源を生かして成功した例が多く、他の地域が簡単に真似できるようなものではない。

「地域と人口減少の経済学」小峰隆夫著(中公新書)

日本を代表するエコノミストである著者が、ライフワークの人口と地域について、定評のある易しい筆致で論じた。分析と主張はいつも通り。人口1億人目標の政策立案は不可能、一極集中是正は間違い、従ってウェルビーイングを維持するスマート・シュリンクを目指すべし。自治体選挙のたび空疎な少子化対策合戦に触れているだけに、深く頷く。

面白いのは、独自のアイデアで成功し、ほかの自治体から多くの見学者が訪れるような地域施策を「劇場型」と名付け、普遍化できないのでは、と疑問を呈していること。高山市、境港市、海士町… なるほど。
これに対して提唱するのは、地道だけれど経済学の道具を取り入れ、どこでも応用可能な「共有型」の地域政策だ。中身はナッジやフューチャー・デザインの応用で正直、新味は薄い。それでも、人口が減ったら経済が縮むとは限らない、という一貫した論理には、読んでいて希望がもてる。
もちろんスマート・シュリンクは、必要性を理解していても当事者にとっては辛いから、実行が難しい政策だ。著者も官僚出身とあって、そこは重々承知。岡山県美咲町の事例を紹介しつつ、とにかく自由な人の移動を妨げないことこそが重要、と強調している。

多くの著書があるけれども、あとがきによると意外にも中公新書は初だとか。学生時代から読んでいるので嬉しい、と率直に記している。チャーミングな人です。(2026.6)

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