ラグビー知的観戦のすすめ
密集ができたときに、その外側の人数や、そこから起き上がってくる選手たちに注目すると、これまでとは違った見方でラグビーを楽しめるようになる。
「ラグビー知的観戦のすすめ」廣瀬俊朗著(角川新書)
元日本代表主将による観戦ガイド。2019年のワールドカップ日本開催に向けた出版なので、各国代表の紹介などは古くなっているものの、基礎的な内容はためになる。「親分にするなら第三列」といったポジションの役割、「ボールを持った選手が常にチームの先頭」といったルール、パスやキックを選択する意味…。相変らずルールや反則は難しいけれど、大事なのは自分の足で立っていること、そして組み合ったら手でボールに触れないこと、と言われるとわかりやすい。
歴史的背景も面白い。フットボールのルーツはイングランドの、何でもありの村祭りで、スポーツとなってからも学校ごとにルールがばらばらだった。1863年にルール統一を話し合い、席を立ったラグビー校式のグループがラグビーに、残った手を使わない派のグループがサッカーになった。ラグビーのアマチュアリズムの伝統は、中上流階級の子弟が名誉のために闘っていたから、そして代表資格が所属協会主義なのは植民地経営のエリートが参加した名残。なるほど。
著者はラグビー振興に情熱をもっていて、その魅力を語りたくて仕方がない。品位や規律という精神論だけでは正直、優等生過ぎるけれど、自身が代表キャプテンを下ろされた屈辱も率直に明かし、それを乗り越えた過程もまたラグビーの魅力だと語っていて、好感がもてる。(2025.4)
« まいまいつぶろ | Main | アーティスト伝説 »
« まいまいつぶろ | Main | アーティスト伝説 »
Comments