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December 22, 2024

戦争と経済

この委員会は、ドイツからの賠償金を受領し連合国の各中央銀行に支払うための国際金融機関の設立も提案する。これが1929年6月に設立された国際決済銀行(BIS)である。

「戦争と経済」小野圭司著(日本経済新聞出版)

防衛省防衛研究所特別研究官が価値観をまじえず、あくまで経済活動としての戦争をドライに語った1冊。個々の戦史ではなく、財政、金融、通商など経済学の分野ごとに、古今東西を俯瞰していく。オタクだけれど平易な記述が、小さい活字で250ページにぎっしり。現在進行形の事象でもあると思うと正直、暗澹とするけれど、国際情勢をみるうえで誰もが年頭におくべき視座だとも思う。

例えば日露戦争のくだりで、単純化するとロシアが清国に貸した資金が日清戦争の賠償金として日本に渡り、対露戦準備の軍備増強に充てられ、英独などへの武器輸入代金として支払われたという。ちなみにこの資金移動の多くは、イングランド銀行などシティの帳簿処理だったとか。
十字軍の護衛として発足した宗教的存在のテンプル騎士団が、軍事はもちろん徴税請負や開運、銀行まで手がけるようになるプロセスなども興味深い。(2024.12)

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