自衛隊最高幹部が語る台湾有事
東シナ海のような半閉鎖海で紛争が起きれば、必ず沿岸国を巻き込むのである。
「自衛隊最高幹部が語る台湾有事」岩田清文、武居智久、尾上定正、兼原信克著(新潮新書)
シリーズ3冊目は武居・元海上幕僚長がホストとなり、前半でシナリオ別シミュレーションを収録。研究者や議員らが参加して、2021年8月に実施したというが、2022年になって起きたウクライナ侵攻によって、残念ながら、より懸念を呼ぶタイムリーなテーマとなったしまった。
後半はお馴染み、武居のほか岩田・元陸上幕僚長、尾上・元航空自衛隊補給本部長、兼原・元国家安全保障局次長による座談会だ。台湾との連絡経路やサイバー防衛、邦人移送の難しさなど、ずいぶんネタばらしに思えるけれど、その分野ではいずれも常識の範囲なのだろう。
いたずらに危機をあおらず、冷静で前向きな対話の姿勢が重要なのは、いうまでもない。そのうえで、米軍のミサイル持ち込みなど、微妙なところを一部の専門家任せでなく、広く議論しておける土壌が求められる気がする。(2022.6)
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