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June 29, 2021

天離り果つる国

「かような天離る鄙の地に、まことに城など築かれているのでござろうか」

「天離り果つる国 上・下」宮本昌孝著(PHP研究所)

山深い白川郷に、かつて存在した帰雲城。非情、苛烈な戦国の世にあって、弱小ながら独立平和のユートピアを求めた内ケ嶋氏の闘いを描く。2020年に話題だった娯楽時代長編だ。

戦国なので、まあ残酷だったりお色気だったり、けっこうどろどろなエピソードがてんこ盛り。悪役は伝奇ものっぽい怪物だし、実は兄妹の禁断の恋とか、往年の大映ドラマみたい。だけど架空のヒーロー、竹中半兵衛のまな弟子・七龍太と、野性味あふれる姫・紗雪のコンビの造形が、爽やかでいい。読みながらなぜだか、長谷川博己&川口春奈のイメージが浮かんだ。

金銀の鉱山経営や、火薬の原料になる塩硝の製造など、テクノロジーが切り札になる構図が興味深い。帰雲城についての予備知識がないままだったので、大詰めの展開には愕然としたけど、ラストにまた一捻りあって、にんまり。サービス精神たっぷりです。あ、帰雲城って埋蔵金伝説なんてのもあるんですねえ。(2021・6)

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