« 渋沢栄一 Ⅰ算盤篇 Ⅱ論語篇 | Main | 歴史の教訓 »

October 31, 2020

君、それはおもしろい はやくやりたまえ

一生懸命やる気も湧いてこないだろう。しかし君が全力を尽くして頑張る場所は、まさに今、君がいる病院である。

「君、それはおもしろい はやくやりたまえ」龍野勝彦著(日経BP社)

薫陶を受けた医師が著した、心臓外科医・榊原仟(しげる、1910〜79)の語録。知人とのつながりもあって読んでみた。1949年の現・東京女子医大を振り出しに、人工心肺など先端医学を切り開き、初代の筑波大副学長などを経て、晩年に榊原記念病院を開院した人物。
心酔する著者の絶賛は当然として、素人には医師や指導者としての評価は正直、はかりかねる。かなり個性的で、合わない人とは徹底的に合わなかったろう、と推測するけれども、信念に基づく様々な挑戦の逸話は痛快だ。例えば、病院設立にあたってホンダの技術リームを招いて、ワークフローとレイアウトを効率的にしちゃう。医学の専門性に閉じこもらない、自在で合理的な発想。
毎週金曜の早朝に集会を開いて、若い医師の拙いアイデアもどんどん評価。その日の夕方には早速「あれはどうなりましたか」と聞いたりして、その気にさせたという。
ユニークなチャレンジを応援したのは、当時の財界の大物たち。しかもアポをとると、1回目は面白い話だけして、佳境に入ったところで辞去してしまい、2回めで続きを話して、寄付を依頼したとか。それだけ人を引きつけるコンテンツを持っていたわけで、見習いたいものです。(2020・10)

« 渋沢栄一 Ⅰ算盤篇 Ⅱ論語篇 | Main | 歴史の教訓 »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

« 渋沢栄一 Ⅰ算盤篇 Ⅱ論語篇 | Main | 歴史の教訓 »