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September 27, 2019

パンドラの種

結局のところ、このデータは、農耕のライフスタイルへの移行が人類を不健康にしたことを示している。

「パンドラの種ーー農耕文明が開け放った災いの箱」スペンサー・ウェルズ著(化学同人)

遺伝学者・人類学者で、ナショナル・ジオグラフィック協会付き研究者の著者が、凍てつくノルウェーのフィヨルドからオセアニアの「沈みゆく島国」ツバルまで、世界各地での取材を織り交ぜて、1万年の人類史を振り返る。
農耕の発明によって、人類は環境と食料にコントロールされる側から、それらをコントロールする側へと劇的に移行した。果たしてそれは人類を幸せにしたのか。
著者は人口の増大や高度な社会性の獲得というプラス面が、疫病や肥満などの「副産物」も伴っていると指摘する。変わらない「生物」としての人類と、激変する「文化」との齟齬という問題意識は壮大で、普遍的だ。
もっとも後半になると、遺伝子テクノロジーや気候変動、さらには原理主義にまで話が及ぶので、散漫な印象を免れない。このあたりのテーマになると、発表の2010年からだいぶ状況が変わっている感じもする。化学メーカー出身の斉藤隆央訳。

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