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June 01, 2019

マスカレード・イブ

あたしがあの映画が好きなのは、そんな人生のごった煮みたいなものを、毎日変わらず受け入れているホテルっていう場所に憧れを抱くからなんです

「マスカレード・イブ」東野圭吾著(集英社文庫)

2011年に単行本が出た「マスカレード・ホテル」の前日談だ。入社4年ながら優秀なフロントクラーク・山岸尚美、そしてやはり新米の刑事・新田浩介をそれぞれ主人公とする短編3作に、表題となっている書き下ろし中編を加えて2014年に文庫化。表題作では新田の殺人事件捜査に、はからずも尚美が協力することになる。もっとも今作では互いに名前も知らないまま。のちに新田が偶然ホテルに潜入して出会う、というわけ。心憎いなあ。
どれも謎解きは楽しいのだが、特に「仮面と覆面」が凝っている。人気覆面作家が新作のため、ホテルに缶詰になる設定で、「ホテルの客はみな仮面をつけている」というシリーズのコンセプトを、さらに2重にした。オタクのファンが、作家にひと目会おうと押しかけてくるあたり、もしかして著者の身の回りの出来事かな、と想像するのも一興だ。
キャラクターでは、所轄生活安全課の穂積理沙が魅力的。学生に聞き込みして、「年下のボーイフレンドってのも悪くないな」とのたまったりして、とってもマイペース。切れ者で、ちょっといけすかない新田を、見事にあきれさせちゃう。
シリーズは2019年に、木村拓哉主演で映画化。未見だけど、新田のイメージはもうちょっと若くて、シャープな杉野遥亮とかかなあ。(2019・6)

 

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