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October 29, 2018

現代経済学の巨人たち

二十世紀に経済学は本当に科学として進歩したのだろうか。実はこの素朴な疑問に答えることは意外に難しい。

「現代経済学の巨人たち 20世紀の人・時代・思想」日本経済新聞社編(日経ビジネス人文庫)
お馴染みケインズ、シュンペーターから、ベッカー、コンピューターの父ノイマンまで20人。今更ながら、歴史的な著名経済学者の列伝を読む。
巨人たちの思想や功績、天才ぶりを解説した1993年の日経連載を、94年に単行本化、さらに2001年に文庫化。20年近くたって読んでも、引用の問いは決して古びていない。すなわち、果たして経済学に真理はあるのか。
もともとは当時の「やさしい経済学」欄に掲載した原稿というけれど、案の定、素人にとって記述は決して易しくない。著者のほうも吉川洋、猪木武徳ら、そうそうたる経済学者の面々だから、それも致し方ないところ。むしろ書き手の思い入れや主張がにじんでいて、興味深い。
ここで明らかになる泰斗たちの主張の開きは、経済学というノーベル賞も与えられるれっきとした学問が、現実の問題を解決するうえでは、決して普遍的な決め手にたどりついていないということの証しに思える。
20人の出身はバラバラだけれど、ほとんどが英米を拠点にして活躍してきた。そして21世紀の今、経済学は中国という、新たな経済大国の体制、仕組みをどう理解するか、新しい課題に直面している。英米という軸以外の新たな発想が求められるのかもしれない。
またGAFAに代表されるデータエコノミー、巨大プラットフォーマーの影響と制御も、前世紀の巨人たちの念頭にはなかったテーマだ。もっとも技術革新の帰結としての、富の偏在やポピュリズムの台頭は、いつかみた景色なのに、アカデミズムからは有効な対策が提示されてはいない。卓越した知性をもってしても、経済学に終わりがないのは、人間社会そのものの難しさの写し絵なのだろうか。(2018・10)

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