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July 21, 2018

2020狂騒の東京オリンピック

日本のスポーツ界は位相がずれている。経済合理性では割り切れない不思議な世界だ。

「2020狂騒の東京オリンピック」吉野次郎著(日経BP社)
2020年7月24日の東京五輪開会式まで、あと2年というタイミングで、日本スポール界に疑問を投げかけるノンフィクションを読んでみた。2015年7月の新国立競技場建設計画見直しの背景を中心に取材し、その年の11月に発刊したものだ。
きっかけは時事性が強いものの、問題意識は普遍的だ。すなわち著者は、日本のスポーツ界はアマチュア精神を金科玉条とするがゆえに、競技団体も、競技場を建設する自治体も、割に合わない運営や投資を続けている、と指摘。無為に補助金や税金がつぎこまれる構図をえぐり出す。
テーマを掘り下げるための素材は豊富だ。米国に飛び、プロスポーツやスタジアムを運営するためのアイデアや、優れたビジネス感覚を具体的に明らかにする。あるいは関係者にヒヤリングして、アマチュア精神を日本に持ち込んだ明治のお雇い外国人の存在や、軍国主義時代の体力向上政策の歴史を掘り起こしていく。
日本にも工夫がないわけではなく、特にトライアスロンのマーケティング戦略はなかなか興味深い。国家的イベントである五輪を超えて、スポーツはどう成熟していくのだろうか。(2018・7)

July 15, 2018

ゼロからわかる!図解落語入門

落語のネタには、泥棒の噺とケチの噺がよく出てくる。なぜかといえば、泥棒とケチの噺だけは一切苦情が来ないからだ。

「ゼロからわかる!図解落語入門」稲田和浩著(世界文化社)
今更ながら、超初心者向けの落語ガイドを読んでみた。寄席のチケットの買い方、マクラとは、古典とは、など、ごく入り口から始まって、噺に出てくる長屋の配置、噺家が名乗る代表的な亭号の解説まで、本当に親切で行き届いている。
中には日本文化の歴史に関わる薀蓄も。例えば、明治政府が国会を開設した折、速記者が圓朝の噺を速記して練習したことから、落語や講談の速記本ブームが起こり、これが二葉亭四迷ら言文一致に影響したそうです。一貫して、お説教臭くない語り口で読みやすい。著者は1960年生まれの大衆芸能脚本家。
巻末のデータも充実していて、定期的な落語会や噺家一覧は手がかかっている。柔らかいタッチのイラストは小野寺美恵。(2018・7)

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