インド旅行記1
いざ彼の地に足を踏み入れてみると、想像を遥かに凌ぐハプニング続きで、たかだか映画一本の撮影を終えたくらいで疲れたなどと言ってはいられないほど、無秩序で壮絶な現実が目の前に横たわっていた。
「インド旅行記1 北インド編」中谷美紀著(幻冬舎文庫)
今夏の個人的テーマである、インド関連本の1冊目に手にとった。かつて知人に勧められた旅行記で、女優さんが単身インドへ向かう。
ヨガ体験が目的だそうで、いわゆるインド一人旅のイメージからすると、のんびりめだ。消毒のためチューブのワサビをなめつつ、ガイドを雇って定番の観光地を巡る。アシュラム(滞在型のヨガセンター)は覗くだけで、ホテルにとまってマッサージを受けたりして、けっこう贅沢だ。
そうかと思うと胃腸の不調やら、しつこい物売りやらはもちろん、パスポートを盗まれて警察に行くといった大事件にも遭遇。読みすすみつつ、おおっとのけぞるだけど、面白いのはそういうイライラする出来事も、割合淡々と綴っているところ。彼女自身がものに動じない性格なのかもしれないけど、なんだかインドという土地が、あまりに多様で矛盾に満ちているせいかも、と思えてくる。(2016・6)
« 東京プリズン | Main | 資生堂インパクト »
« 東京プリズン | Main | 資生堂インパクト »
Comments