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November 07, 2015

あなたは、誰かの大切な人

 ねえ永美。こうしてみると、けっこう、悪くないかもよ。結婚ってものは。
 かわいいもんよ。……男ってやつは。

「あなたは、誰かの大切な人」原田マハ著(講談社)

田中哲司、小栗旬というキャストにひかれて観た2人芝居「RED」。モチーフとなっていた現代美術家ロスコの「シーグラム壁画」に触れたくて、佐倉のDIC川村記念美術館まで足を運び、著者のトークイベントに参加。装丁に壁画を使った短編集を買って帰った。
本屋大賞第3位など、文学賞の常連だけど、意外に読むのは初めてだ。決して凝ってはいない平易な表現で、平凡な庶民の、しかし当事者にとっては平凡ではすまされない人生の岐路をしみじみ描く。

主人公はこつこつ働いて、それなりの年齢になった女性たち。ふと足をとめ、よく知っているはずの親や友を思うことで、改めて親子や夫婦の愛情というものを噛みしめる。誰にでも何かしら覚えがあるような感情が、泣かせます。美術館の「ロスコ・ルーム」も効果的に登場。
意地悪くみちゃうと、ベタなセンチメンタルとも言えるものの、旅先というシチュエーションが多いので、現実との距離がうまく調節されている。特に「皿の上の孤独」の、乾いたメキシコシティの風景が鮮やかだ。いつか行ってみたいものです。(2015・11)

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