本と暮らせば
読書人は、年を取らない。
「本と暮らせば」出久根達郎著(草思社)
大好きな名手のエッセイ集を読む。「日本古書通信」初出が主体で、本にまつわるテーマが多く、著者がさりげなく紹介する知識が楽しい。明治大正の出版社の重版数戦略、昭和初期にパリの日本人が通った「堀部安兵衛」の謎、日本のエイプリルフール事始め…。
内田百閒が昭和4年法政大学にできた航空部の初代会長を務め、この部の学生が羽田の公式の使いはじめとして訪欧飛行を敢行したとか、びっくりの話題が満載だ。アンソロジーを編むための調べもののこぼれ話とか、小説などの解説として執筆した文章もある。そしてさらさらと読むうちに、本というメディアの豊かさ、読書の楽しみを思う。(2015・3)