5年後、メディアは稼げるか
NYTは銀座の三越でしょうか。お上りさんもたくさんいますが、毎週、毎日のようにショッピングに訪れる常連客も多いわけです。この忠誠心の違い、リピーターの比率の違いが、有料化における両者の明暗につながっているのです。
「5年後、メディアは稼げるか-MANETIZE OR DIE?」佐々木紀彦著(東洋経済新報社) ISBN:9784492762127
1979年生まれの東洋経済オンライン編集長が、伝統的紙メディアがウェブでどう収益を上げていくかを考察。電子書籍で。
雑誌と比較して「読まれるサイトの作り方」を述べた導入部は、自らの体験に基づいていて実感がある。ウェブはパッケージではないので、統一感より多様性が大事だとか、ちょっと下品な断言や本音、個人の主観が好まれるとか。
その上でどう稼ぐかがテーマになるわけだが、著者は資料を縦横に引用してニューヨーク・タイムズなど海外の事例を挙げ、広告モデルや有料モデルの勘所を解きほぐす。有料化にはまず無料サイトとしての実績が必要、成功の指標は「中毒性」、といった指摘がまた実践的だ。
組織や人材の要件については30代以下が担うべき、と主張。これもテクノロジーの進化を考えると、もっともなところだろう。ビジョンをまじえず、ウェブメディアの現在を整理できる一冊。(2013・9)
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