« 百年法 | Main | 清洲会議 »

August 25, 2013

想像ラジオ

世界が悪い方に向がわねように、草助は嫌な言葉を聞ぐ度にくるっと体を回して、言ってみれば未来を変えでるんだ。

「想像ラジオ」いとうせいこう著(河出書房新社) ISBN 9784309021720

著者16年ぶりの長編を電子書籍で。震災の犠牲者の思いがこの世に残り、ラジオパーソナリティとなって人々の想像に届く「放送」を始める物語だ。芥川賞候補としても話題になった。

あまりにリアルな震災の悲劇と、軽妙なDJ口調がミスマッチで、正直、中盤までは読んでいてしっくりこなかった。そういう読者は、決して少なくないと思う。
著者の姿勢が真摯であることは疑いない。おしゃべりが聞こえるかどうか、聞こえることを認めるかどうか。当事者でない者、さしたることもできずにいる者の関わり方を問いかける。簡単に答えは出せないだろう。それを十分自覚し、悩んだり絶望したりしながらも、書かずにはいられなかったのではないか。
DJアークはリスナーから届く、些細で大切な日常を伝えていく。終盤、アーク自身が回想する息子・草助の子供時代のエピソードが美しい。(2013・8)

« 百年法 | Main | 清洲会議 »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 想像ラジオ:

« 百年法 | Main | 清洲会議 »