清洲会議
業務連絡です。羽柴秀吉様は、当初、他の方々と同様、城内に宿泊される予定でしたが、寝泊まりは城の外にして欲しいという申し出が昨日になって届き、急遽、ご城下の西覚寺に宿を置くことになりました。関連の各パート、よろしくお願いします。
「清須会議」三谷幸喜著(幻冬舎文庫) ISBN 9784344420557
信長なき後の1582年、尾張の清須城で織田家後継を決める会議が開かれた。歴史の分岐点のひとつとなった5日間を、当事者たちのモノローグ(現代語訳)で活写する。文庫で一気読み。
かねて大河ドラマファンを公言しており、かつ個性を生かす「アテ書き」の達人・三谷さんらしい、イキイキとした時代エンタメ小説だ。あえて戦場でなく会議という目のつけどころが絶妙だし、なにしろキャラが立っている。無骨でお人好しな武将柴田勝家と、はしこくて周到に人の心を操る羽柴秀吉との鮮やかな対比。人物像がそのまま、群雄割拠から天下統一へという時代のうねりを映す。2人を翻弄する、美しく高慢なお市の方ら女性陣も魅力たっぷりだ。やっぱり戦国と幕末はドラマチックだなあ。
会議というものの、現代に通じる要素が散りばめられているのも楽しい。勝敗を決めるのは根回し、ということで、馬鹿馬鹿しくも激しい心理戦が続き、形勢は二転三転。卷半ばまで肝心の本会議が始まらないのだ。
思わず拍手しちゃうのは、およそ戦国らしくない裏方の活躍。特に文官・前田玄以の訓辞がいちいちふるっている。スケジュールの伝達や会場設営、武将と随行員たちの宿、食事まで一切を仕切り、てきぱきとして実に細かい。「ザ・総務部」って何をするにも大切なんだよなあ。そんな段取りをのほほんと手伝っている「きゅーきゅー」こと堀秀政が、実はキーマンだったりするし。
大好きな大泉洋をはじめ、役所広司、小日向文世、佐藤浩市、鈴木京香ら豪華キャストで映画化。生前の「更科六兵衛」も登場するという遊びっぷり、楽しみです。(2013・8)
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