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July 20, 2013

百年法

長く生きてるとさ、いろんな事に疲れてきて、それが態度や顔つきに出てくる。あたしの周りには、そんなのがいっぱいいる。

「百年法 上・下」山田宗樹著(角川書店) ISBN 9784041101483 ISBN 9784041101919

壊滅的な敗戦の後、不老技術「HAVI」と、不老となっても世代交代を担保する生存制限法、通称百年法を導入した日本。西暦2048年に百年の期限が近づき、死の選択を突きつけられて社会は動揺する。

2012年に話題になったSF大作を電子書籍で。登場人物が多いので、確認のための検索機能が存分に威力を発揮した。
不老技術の開発という設定は荒唐無稽だけど、抑えた筆致でぐいぐい読ませる、なかなか骨太のエンタテインメント。特に下巻に入って、アメリカドラマのような国家の陰謀や、謎のテロリストをめぐるアクションが加速し、ミステリーの要素も加わって飽きさせない。
何より超高齢化に突入した国家の姿が、まんざら他人事とも思えないのだ。仕事や家族関係はどうなるのか、経済の停滞は防げるのか? 長い長い人生を生き抜き、後の世代のためを考えて道を選ぶとはどういうことか。読む者のイマジネーションが広がっていく。
映画「ターミネーター」を思い出させる、強い母とカリスマ性を備えた息子というヒーローの人物像はチャーミングで、ヒーロー同士の丁々発止がわくわくさせる。大詰めでは官僚がやや格好良すぎる気もするけれど。年代がややこしくて追い切れないとはいえ、伏線も緻密な印象。(2013・7)

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