ストーリーとしての競争戦略
戦略をストーリーとして語り、組織で共有するということは、戦略の実効性を大きく左右します。
「ストーリーとしての競争戦略」楠木建著(東洋経済新報社) ISBN: 9784492532706
紙なら500ページ超、2011年ビジネス書大賞の人気作を電子書籍で。持ち運びも楽だし、自在にしおりを挟める。こういう本は実に電子書籍向きだなあ。
戦略の優劣は、話している方も聴く方も思わず身を乗り出してしまうような「面白さ」、生き生きとして、つながりのある長いストーリーになっているか、にかかっている、というのが著者の持論。それを具体的なケースに加え、ユーモアのある例えをふんだんに交えて説く。
冒頭近くに、ある登山隊の逸話が出てくる。ピレネー山脈で遭難、ポケットに残った一枚の地図によって生還した。しかし無事下山してよくよく確かめると、それはピレネーではなくアルプスの地図だったーー。
未来はいつも不確実。戦略は一直線に成否を保証するような公式ではない。それでも優れた戦略は必要だ。経営は人がするものだから、リーダー自身がノリノリになって社員、取引先、そして顧客を動かし、導き続けるために。
ほかにも思わず、しおりを挟みたくなるフレーズが満載。大切なことは、失敗を避けることではなく、「早く」「小さく」「はっきりと」失敗することです、ストーリーを丸ごと伝達するためには、リーダー自らがそのストーリーを直接語ってみせるしかないのですーー。この著書自体が、とても面白いストーリーと言えるだろう。(2013年1月)
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