贖罪の奏鳴曲
死んだ人間の分まで懸命に生きろ。決して楽な道を選ぶな。
「贖罪の奏鳴曲(ソナタ)」中山七里著(講談社) ISBN: 9784062173773
弁護士・御子柴礼司は雨の夜、ある犯罪に手を染めた。その真意とは。「このミス」大賞作家の一冊を電子書籍で。
2つの事件が絡み合いつつストーリーが進む。1つは小さな製材所の経営者の死。妻の美津子に保険金殺人の疑いがかけられて公判中だ。もう1つの事件はある雨の夜に起きたフリーライターの死。被害者はあえて美津子の弁護を引き受けた辣腕弁護士・御子柴と接点があった。一癖ある御子柴の身辺を洗い始めた埼玉県警の刑事、渡瀬と古手川は、彼の隠された過去を知る。
果たして見かけ通りの冷血漢なのか、それとも…。寡黙な御子柴の複雑な人物像が、読む者をぐっと引き込む。彼の過去を丹念にたどっていく部分は、リアリティはともかくとして、こってりした人間ドラマの色彩だ。その分、謎解きはちょっとあっけない感じがしちゃうし、決して後味がいいとも言えないものの、なかなか読み応えがあった。(2012・9)
« ローマ人に学ぶ | Main | ウェブはグループで進化する »
Comments