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August 26, 2012

人体工場

論から言うと、フェニメディックスなんて会社は存在しないわね。治験関連の業界団体や、治験に協力している東京の病院なんかを、片っ端から当たってみたけれど、そんな会社、誰も知らないって。

「人体工場」仙川環著(PHP文芸文庫) ISBN: 978456967568

大学生の真柴徹は軽い気持ちで、割の良い治験のアルバイトを引き受けた結果、思いがけない事件に巻き込まれていく。

著者お得意の医療ミステリー。科学技術の知識に、人の体を使って人を助ける、という今日的な倫理問題を絡めていて考えさせる。

主人公の真柴は特段の人生の目標ももたず、麻雀と居酒屋のバイトでだらだらと時間を浪費している若者だ。つまりは、どこにでもいそうな青年であり、いかにも不甲斐ない。しかし危機に直面したことで成長し、治験で知り合った美紀を救おうと決意。ブツブツぼやきながらも悪に対峙していく姿は、思わず応援したくなる。

徹底して「上から目線」の女医・若松みなみや、口は悪いものの実は真柴を可愛がっているらしい居酒屋店長・飯塚といった、脇役の造形が魅力的。真柴が敵陣に乗り込んでからの展開は、もう少しテンポアップしてもいいかな。(2012・7)

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