津波と原発
「そのとき彼らは、『国はデータを隠している。もうここにはいない方がいいですよ』と、言った」
「津波と原発」佐野眞一著(講談社) ISBN: 9784062170383
三陸海岸に大震災発生から1週間で、また双葉町には原発事故から1カ月半で足を運んだ作家のノンフィクション。2011年6月発行の1冊を読んだ。
現場を歩き、辛いインタビューを続ける姿勢、また終盤、戦後社会に向ける独特の視線は「巨怪伝」「カリスマ」の作家ならではだろう。
そのとき何が起きていたのか、ここに至るまでに何が必要だったはずで、そしてまた、これからいったい何が必要なのか。投げかけられる問いは今も現在進行形で、生々しい。前に進むには、わかりやすい結論に飛びつかず、一つひとつ手間をかけて向き合っていくしかないのでは、と思わせる。『「フクシマ」論』の開沼博との対話も。(2012・2)
« 共喰い | Main | FBI美術捜査官 »
« 共喰い | Main | FBI美術捜査官 »
Comments