権力の館を歩く
近衛の次男通隆は、父の寝室で夜中の二時ごろまで話していたという。そこで近衛は自らの心境を近衛家用箋に書き記して通隆に渡した。
「権力の館を歩く」御厨貴著(毎日新聞社) ISBN: 9784620320083
歴代首相の住居、別荘から議事堂、各党本部まで、建築の成り立ちから権力の有りようを探る。毎日新聞での2007年1月から2010年3月までの連載を再構成。
個人的に実家近くに「荻外荘」があった思い出から、歴代首相の住居をたどった前半を、特に興味深く読んだ。「その瞬間」のエピソード、関係者の証言を交えつつ、それぞれの政治家が陳情客や密談の相手をどうさばいたか、なにかと騒がしい都心とどう距離をとったか、などからその心情にアプローチする試みだ。自然と財力、財力についての考え方も透けて見える趣向。
権力者たちが互いをどう意識していたかなど、読み解き部分になるとたぶんに主観的な印象ではある。けれど政治というのは主観なのだろうな、とも思える。研究室の学生たちや企業とのコラボレーションぶりも見事。(2011・5)
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