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April 01, 2011

梅棹忠夫語る

ずいぶん日本人は立派なものをつくってきた。だから、それは誇りを持って語るに足ると思う。

「梅棹忠夫語る」語り手・梅棹忠夫、聞き手・小山修二(日経プレミアシリーズ) ISBN: 9784532260972

学問に対する姿勢やメディア論から、挫折を挫折と思わない強靱な生き方まで。2010年に死去した民俗学・比較文明学の巨人・梅棹忠夫最晩年の、語りの記録。

退屈な権威を切り捨て、本質をずばり言い切る。論争をして負けたことがないという絶大な自信と、関西弁をまじえた闊達な語り口が、このうえなく痛快だ。
語り手が語り手なら、聞き手も聞き手。国立民族学博物館でともに過ごした小山修二は、ときにまぜっかえしながら、絶妙にポイントに切り込んでいく。梅棹が繰り出す印象的なフレーズを、ところどころ大きなポイントで組む工夫も。フレーズが自然と、頭の中でリフレインする。

テーマは多岐にわたるけれど、今読むと特に、「日本文明に対する確かな信頼」に触れたところが胸に響いた。先入観に囚われず、虚心坦懐に三内丸山遺跡という存在を見れば、いかに素晴らしい文明なのかがわかるのだと。敗戦で周囲が意気消沈していたときには、本人も着の身着のまま大陸から逃げ帰っていたにもかかわらず、日本はこれから伸びる、国民がいるではないか、と説いて回ったという。 

そして「請われれば一差し舞える人物になれ」という至言。残念ながら私は学問的素養が乏しくて、全体をきちんと咀嚼できているとは思わない。けれど不思議と、勇気がわいてくる一冊だ。(2011・3)

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