茂田井武美術館 記憶のカケラ
絵ハウソヲツカナイ
ウソヲツクコトノ
ドウシテモ出来ナイモノデアル
「茂田井武美術館 記憶のカケラ」茂田井武著、広松由希子・構成・解説(講談社) ISBN: 9784062149433
2008年の生誕100年をきっかけに出版された童画家の作品集を、改めて開いてみた。若き日のパリ行のスケッチや、雑誌「新青年」によせた挿絵、児童書の仕事などに分類してあり、資料編ともあわせて画業を俯瞰できる。
活動期間は決して長くない人だけれど、その魅力は童画の愛くるしさだけにとどまらない。たとえば病床で情熱をかたむけ、結局、遺作となってしまった絵本「セロひきのゴーシュ」には、奔放な詩情とでもいうべきものがあふれている。ゴーシュの奏でる音楽に目を丸くして耳を傾ける聴衆の中には、妻子をモデルにしたらしき顔も見えるとか。
巻末にある奈良美智、柴田元幸ら、茂田井ファンたちのコメントも興味深い。切り取って、手作りできる絵本の特別付録付き。まあ、もったいなくてとても切れないけど。(2011・3)
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