茂田井武
よるめざめたとき はぢめての世界をみた ふしぎな生生とした国が 四方八方に一ぱいにみえた みえたとおもえた それは私が 子供になっていたからだった
「茂田井武」茂田井武著・構成広松由希子(河出書房新社) ISBN: 9784309727066
昭和・大正の子供文化を伝えるビジュアル叢書「らんぷの本」の、思い出の名作絵本シリーズの1冊。絵雑誌「キンダーブック」で小川未明の童話に寄せた絵から、残された画帳、幼い娘に贈った手作り絵本までを、豊富な図版で紹介している。
大きな積み木で遊ぶ子供たちの姿、仮装行列する動物……。どの絵にも、子供の目から見た世界というものが溢れている。遊びに夢中になる躍動感とか、動物とも平気で会話できちゃうような感覚。
15年ほどの短い間に、数多くの子供向けの本の仕事をしているけれど、ほとんど残っていないという。通常の単行本に比べて粗末なつくりであることが多いうえに、読み手の子供が成長するにつれ、忘れられる運命だからだろう。残念このうえない。
友人であったコラムニスト山本夏彦や、次女・後藤暦さんの文章、評伝などを収録。(2011・3)
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