日本人の坐り方
点茶の作法の歴史を辿っていくと、必ずしも「正坐」が正しい基準であったわけではない。
「日本人の坐り方」矢田部英正著(集英社新書) ISBN: 9784087205817
元体操選手で、姿勢について研究しているという著者が、歴史的に日本人がどんなふうにすわってきたのか、を探る。
巻末の「おわりに」によると、「畳で30分で読めるような本を」というリクエストにこたえた著作だそうだ。たしかに絵巻、浮世絵などの図版が豊富で、するする読める。のっけから、江戸時代の茶道指南書ではいかにも行儀悪そうな「立て膝」が認められていた、といった蘊蓄が披露されていて、なかなか興味深い。
私たちは正式なすわり方といえば「正座」が常識なんだと、なんとなく思っている。では、いつから、どのようにして、そうなったのか?
時代が幕末までくだってくると、けっこうリアルな写真が残っているのも面白い。身分の高そうな武士の登城シーンで、そばに控えている家臣が見事なヤンキー座りをしている図なんか、ちょっとびっくりします。(2011・2)
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