「アフリカを食い荒らす中国」
アフリカに進出した中国企業はすでに推定九〇〇社。アフリカの中国との貿易額は、トップのフランスとの貿易額に次ぐまでになっている。
「アフリカを食い荒らす中国」セルジュ・ミッシェル、ミッシェル・ブーレ著(河出書房新社) ISBN: 9784309245003
アフリカ大陸の14カ国を訪れ、中国系企業の活動ぶりを追ったルポ。扇情的な書名がついている(原題は「シナフリック」だそうだ)が、特に何か驚くような事実が記されている感じはしない。情報(2008年段階)は全般に断片的で、漠然としている。
ただ、世界経済が常に変化し続けているという、いわば当たり前のことを改めて考えさせる一冊ではある。もちろん、著者はフランス、スイスのジャーナリストであり、本書の記述にはその立場からのフィルターがかかっているだろう。それを踏まえたうえで、今ここにあるグローバリゼーションというものは、どことなく見覚えがある構図のようでも決してシンプルではないし、単純な思考や単純な危機意識ではとらえきれないであろうと思えてくる。中平信也訳。(2010・7)
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