「恥ずかしい読書」
いろんな本を逆さにしてみた。意外な発見は書道である。石川九楊『一日一書』(二玄社)は、毎日一文字ずつさまざまな書について語ったコラム集だ。書なんて、上と下があって初めて成り立つものなのに、逆さにしたり横にしたりすると、ほとんど抽象画あるいは記号のように見えてくる(漢字も記号のひとつではあるのだけど)。
「恥ずかしい読書」永江朗著(ポプラ社) ISBN: 9784591083888
出版・書店関連の著作で知られるライター兼エディターが、読む楽しみをつづる。
奥付を見ると2004年の出版。この1年ぐらいぽつぽつと読んできて、ようやく読了した。こんなことでは、とても著者のような本読みにはなれない。なにしろ歯磨きしながら本を読むのだ。もっともこの歯磨き読書の目的は速読とかではなくて、哲学書などを読み通すための工夫だという。つまり一定時間、逃れられない状況で読む。
本棚の蘊蓄やら、知る人ぞ知る書店廻りガイドやら、興味深いテーマが並んでいるけれど、やっぱり「読み方」の話が面白い。例えば本を逆さにしてみると何が見えてくるか?
実践したわけじゃないけど印象に残ったのは、索引読み、略してサクドクのススメ。難解な専門書の場合、末尾の索引から主だったキーワードを選んで、その語に触れたページを拾い読みするだけでも、概略をつかめると著者は説く。で、索引がない本の場合はどうしたらいいかというと、専門書なのにちゃんとした索引を備えていない本は、そもそも読む価値がないのだそうだ。なるほど。(2010・1)
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