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October 03, 2009

「夏への扉」

ドアの外に白色の不愉快きわまる代物を見つけると、(馬鹿ではなかったので)もう外へは出ようとせず、人間用のドアをあけてみせろと、ぼくにうるさくまつわりつく。
 彼は、その人間用のドアの、少なくともどれか一つが、夏に通じているという固い信念を持っていたのである。

「夏への扉」ロバート・A・ハインライン著(ハヤカワ文庫) ISBN: 9784150103453

「六週間戦争」後の1970年、南カリフォルニア。発明家ダンはビジネスパートナーと恋人から手ひどい裏切りにあい、「冷凍睡眠」で2000年の未来へと送り込まれる。

SNS「やっぱり本を読む人々。」選出の100冊文庫から、SFオールタイムベスト常連作の旧訳版を読む。

いやー、今さらですが、つくづく不勉強でした! 映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が大好きで、ユニバーサルスタジオのアトラクションに乗ったこともあるけど、こんなところに原型があったとは。米国で発表されたのが、なんと1956年。タッチの軽妙さ、我が儘な愛猫からちょっと間抜けな悪役に至るまでの魅力的なキャラクター、そして終盤の時間ぎりぎり、はらはらドキドキの冒険ーーすべて、ちっとも古く感じられないことが驚きだ。

執筆時にとっては近未来である1970年と、さらにワープした未来にあたる2000年の世界が舞台になっており、そこで描かれる生活の進化ぶりが興味深い。もちろん今となっては2000年も過去であり、荒唐無稽だなあ、と感じるんだけど、それでも豊かな作家のイマジネーションには驚かされる。
例えば企業の経営権の奪い合いのところとか、歯科医に行くシーンとか。全編を貫く、あくまで楽天的な、元気が出る雰囲気と相まって、エンタテインメントの底力を感じる。扉を探す旅は、今も続いているのだ。福島正実訳。(2009・10)

『夏への扉』ロバート・A・ハインライン Roko’s Favorite Things
時空の操り方 活字の砂漠で溺れたい

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Comments

COCO2さん☆こんばんは
わたしも不勉強でこの夏に読んだばかりなんですが、こんなに面白いとはね~!
未来への希望に溢れていて、素晴らしい作品でしたね。(^o^)/

そうですねー、この前向き加減がアメリカンですよね。次は「マイナス・ゼロ」を読まなくちゃ…

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