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October 08, 2009

「ダブル・ジョーカー」

 --何を、どこまで出来るのか。
 
自分自身に証明してみせることが快かった。
 
自負は、ほとんど肉体的な快感だった。

 たとえそれが、ある種の薬物中毒者が感じる命取りの快楽であったとしても……。

「ダブル・ジョーカー」柳広司著(角川書店)  ISBN: 9784048739603

陸軍に密かに設立された「D機関」。超人的な能力を持つスパイたちの、息詰まる闘いの日々。

「ジョーカー・ゲーム」の続編ということで、楽しみにしていた連作を読む。いやー、うまい。短い文章のなかで、まるでオセロのように白と黒が鮮やかに逆転していくさまは、本当に小気味よい。

今回は謎多き男、結城中佐の過去の一端も明かされていて、結城ファンにはたまらない。そうかー、そうだったのかー。そしてついに、影の存在が影であることを許されない時代がくるのか。そんな時代を生きる中佐に思いをはせずにはいられない。決して大きな感動ではないけれど、抑制の効いた文章と精緻な構成にうーんと唸って、その後になにやら余韻が残る。(2009・10)

ダブル・ジョーカー/柳広司  taipeimonochrome

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