「婚活」時代
たったここ数年で、男性が女性に年収を求めるとはっきり言えるようになりました。問題は、それに代わって、日本の男性が提供してくれるものが、女性にはまだ見えてこないことです。
『「婚活」時代』山田昌弘、白河桃子著(ディスカヴァー携書) ISBN: 9784887596238
「パラサイト・シングル」で知られる家族社会学者の背景分析と、「キャリモテ」女性ライターの実態ルポで解き明かす現代結婚事情。
手練れの筆者ふたりのタッグとあって、「出会い格差」とか、「逆狩猟時代」とか、思わず口にしたくなるキーワードがいっぱいだ。鍵となるフレーズがゴチックにしてあって、そこを拾いながらすいすい読める。結婚が必須でなく、いわば嗜好品になり、経済環境の変化が加わって「希望格差」が顕在化し…という未婚現象の解説は、言ってみればお馴染みのもの。本書ではそれに続けて、今や結婚は就職活動のように、ノウハウとツールを駆使して取り組むべきもの、と力説する。
男性はもっと自分を磨いて、経済力とコミュニケーション力を養え、一方、女性はもう自分磨きは十分だから、外に出て出会いを求めろ、という叱咤激励は、ちょっと単純にも思えるけどわかりやすい。(2009・2)