「文楽のこころを語る」
なんぼ床本がかわいそうな文章でも、語り方が悪かったらかわいそうに聞こえまへん。こんなええ浄瑠璃を語らせてもろうてお客さんに泣いてもらえなんだら、よっぽど大夫が悪いのです。
こんな結構な浄瑠璃をやらせてもろうて、大夫冥利につきます。
「文楽のこころを語る」竹本住大夫著(文春文庫) ISBN: 9784167753306
人間国宝、住大夫さんによる楽しい演目解説。
めったに上演されない「五人伐」という珍しい演目から、「忠臣蔵」などの定番まで19演目。住大夫さんがそれぞれを語るうえで、どういうところに気を配っているかを解き明かす。息やテンポで、年齢も境遇も違う人物を細やかに描き分け、ストーリーの盛り上がりを表現する。三味線との稽古風景や、拍手がほしいポイントなども、ざっくばらんに話していて興味深い。初心者としては、観たい演目がたくさんあるなあ、と楽しみになってくる。
芸への厳しさ、こだわりの強さはもちろんだが、演目解説の合間に自らの浮気体験なんかをちょこっと話す茶目っ気も相変わらずで、魅力的。山本千恵子さんによる聞き書き。茂山千之丞さんとの対談も収録。(2009・1)
竹本住大夫 文楽の心を語る 文楽を見に行きませんか?
「文楽のこころを語る」 竹本住大夫 おりおん日記
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