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December 14, 2008

「テンペスト」

どの国とも衝突することなく、相手国の尊厳を保ち、且つ常に琉球の優位を貫き通せ。

「テンペスト」池上永一著(角川書店)  ISBN: 9784048738682  ISBN: 9784048738699

琉球王国末期の王宮に、颯爽と現れた美貌の官僚の波乱の半生。

「ベルばら+大奥」ともいうべき、おひねりが飛んできそうな極彩色エンタテインメント。女ながら男装して宦官と偽り、高級官僚となった主人公が、外交交渉に手腕を発揮。政争に敗れて流刑となるも、奇跡的に復活し…と、ありえない展開がてんこ盛りだ。
「涙目」とか「ルンルン」といった軽い単語の連発や、悪役の気色悪さには正直、辟易とさせられる。「理性の男、感情の女」という対立軸も意外性は乏しい。でも、下世話に徹した上下巻800ページ超にはエネルギーがある。

琉球王朝について知識がなかったので、物語の背景が興味深かった。清、薩摩に加え迫り来る欧米列強という圧力の狭間にありながら、知力を武器に生き残ろうとする。こうした国際政治の表舞台から遊女に至るまで、物語の底流には「被支配」という存在の、どうしようもない悲しさや、決してきれい事ではないたくましさが流れているように思う。これが物語のエネルギーの源なのだろうか。石畳の道の、雨のシーンが妙に美しい。(2008・12)

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