「ジョーカー・ゲーム」
だが、そんなことが本当に可能なのだろうか? 一生誰も愛さず、何ものも信じないで生きてゆくなどということが。
「ジョーカー・ゲーム」柳広司著(角川書店) ISBN: 9784048738514
陸軍に極秘に設置されたスパイ養成学校「D機関」。数カ国語を操り、哲学や戦術を自在に論じ、金庫破りから変装術までを体得した異能の男たちの、見えない闘い。
本好きブロガーの間で評判の連作短編集。これはお得です。250ページぐらいだけど、その3倍ぐらいの分量を読んだ気分。非常に平易で読みやすい文章ながら、騙し騙されの二転三転が詰め込まれ、どの一編も、読み終わるまで全く息が抜けない。
百戦錬磨の英国諜報機関の手に落ちて、どうやって機密を守り、敵地から脱出するか。ときに、絶体絶命に見える孤独なスパイたち。裏を読み、先を読み切る知力を支えるのは、使命感でも愛国心でもない。ただ一つ、あらゆる固定観念にとらわれないタフな精神だけだ。ヒロイズムに流れない、自制の効いた筆運びだから、ほんの少しかいま見える人間の弱さ、切なさが際立つ。
著者がもつ引き出しの多様さを感じさせ、シンプルでいて、ものすごく映像化しにくそうな、濃密な一冊。日本推理作家協会賞、吉川英治文学新人賞受賞。(2008・10)
『ジョーカー・ゲーム』柳広司 大台突破
« 「聖母(ホスト・マザー)」 | Main | 「あやつられ文楽鑑賞」 »
『ジョーカー・ゲーム』読みました。本当に良くできていますね。隙がないと思いました。それこそ結城中佐その人のよう。
こりゃあ本屋大賞に入ってくるのも納得だし、これを読んで賞の行方がますます予測不能になりましたよ。
Posted by: たまねぎ | March 11, 2009 10:23 PM