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October 01, 2008

「ツ、イ、ラ、ク」

隼子は急いでいた。どこへ行くのかわからないが、早く、どこかへ行かなくては間に合わない。なにに間に合わないのか、それもわからない。しかし、急いでいた。

「ツ、イ、ラ、ク」姫野カオルコ著(角川文庫)  ISBN: 9784041835142

閉鎖的な地方の町での、秘めた恋と、二人のその後。

恋愛小説だけれど、なんだかごちゃごちゃしている。埃っぽい体育館やら、大人びていたり幼稚だったりするクラスメート同士のすれ違いやら、大人になってから振り返ってわかる、大人たちが中学生に課す様々な足枷の理不尽やら、まあ、恋愛と関係なさそうな話が、短い場面展開の中にぎっしりと詰まっている。

ああそうか、あの頃って、こんな風にごちゃごちゃしていたんだ。そのごちゃごちゃの最たるものが、恋だったんだーー。周到な、たくらみに満ちた一冊なのかもしれない。(2008・9)

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