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September 03, 2008

「四畳半神話体系」

 お前はいまそこにある己を引きずって、生涯をまっとうせねばならぬ。その事実に目をつぶってはならぬ。 
 私は断固として目をつぶらぬ所存である。

 でも、いささか、見るに堪えない。

「四畳半神話体系」森見登美彦著(太田出版)  ISBN: 9784872339062

快作「夜は短し歩けよ乙女」に先立つ、京都の学生さんのパラレルワールド・ファンタジー。

なんというか、地味でまじめで平凡な大学生の、「役に立たないこと」に満ちた日常のお話だ。要するに「私」は、冴えない自分に苛立っている、ただそれだけなんだけど、これが森見節のファンタジーで語られると、教養があり、それでいてナンセンスな落語風の独特の節回しで、にやにやして読めてしまう。

「夜は短し歩けよ乙女」と比べると、全体に「はちゃめちゃ」は控えめ。とはいえ、癖のある人物や怪しいサークルが期待通りに続々登場し、最後には悪夢のような妄想世界に飛翔して、きっちり着地する。300ページ近くあるのが力作のような、そうでもないような… だけど、やっぱりうまいなー。(2008・9)

森見登美彦『四畳半神話体系』   死角の■

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Comments

こんにちは。
森見ワールドらしい変人がたくさん出てきて楽しい一作ですね。

なかでも、熊のぬいぐるみに「ふわふわ戦隊モチグマン」と名づけ、
蛾を見ると「ぎょえええええ」と絶叫するわりに
主人公たちの変人振りには眉ひとつ動かさないクールな(?)女子大生・明石さんが、
まともそうに見えて一番異彩を放っていたりします。

そうそう、その明石さんと恋が成就しちゃうあたりが、いいですよねー。

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