「白夜行」
「俺の人生は、白夜の中を歩いてるようなものやからな」
「白夜?」
「いや、何でもない」
「白夜行」東野圭吾著(集英社文庫) ISBN: 9784087474398
大阪の下町で起きた、ある殺人事件。そこから19年にわたる、少女と少年の壮絶な軌跡。
人気作家の文句なしの傑作を、久しぶりに文庫で再読。筋を知っていても、面白さは全く色あせない。謎が謎を呼んでぐいぐい引っ張るミステリーであり、「悪」の悲しさで読む者を圧倒する人間ドラマでもある。
インベーダーゲームやハッカーなど、当時の時代背景を織り交ぜた緻密な構成に、改めて「うまい」と唸った。リアルな時代の描写はすなわち、主人公二人が生き抜いてきた時間の重さだ。
そして何といっても巧みなのは、徹底して乾いた筆致だろう。決して主人公の内面に立ち入らず、関わりをもった人々の視点から重層的に主人公に迫る。だから読むほどに、この類い希な悪女のことをもっと知りたい、という気持ちがかき立てられていく。そして知れば知るほど恐ろしく、また切ないのだ。ありきたりな「種明かし」に流れない、幕切れの一行が最高に鮮やか。(2008・9)
◎◎「白夜行」 東野圭吾 集英社 1,900円 1999/8 「本のことども」by聖月
「白夜行」東野圭吾 本を読む女。改訂版
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