「星を継ぐもの」
「ようし、これで貴様とおれの一騎打ちというわけか、え?」彼は宇宙に向かって悪態をついた。「いいだろう、罰当たりめが……やれるものならやってみろ」
「星を継ぐもの」ジェイムズ・P・ホーガン著(創元SF文庫) ISBN:9784488663018 (448866301X)
2020年代。月面で発見された宇宙服を着た死体は、鑑定の結果、人類誕生のはるか前に死亡していたとわかる。「彼」はいったい何者で、その文明はどこから来たのか。科学者たちの英知を集めた探究が始まる。
読書SNS「やっぱり本を読む人々。」の推薦文庫にチャレンジした。こういう出合いがなければ、絶対読みそうになかった気がする。SFに慣れていないし、字は小さいし、正直、最初はなかなか調子がでなかった。
「ハードSF」の名作ということで、主役はいわば科学そのものなのだろう。情緒的な描写は少ないのだけれど、中盤から、必死に謎を追うことで意外な真実に近づいていく科学者たちの興奮が読む側に伝わり、どんどん熱を帯びてくる。宇宙と進化をめぐる、スケールの大きな知的冒険の物語だ。
出版は77年。77年といえばスター・ウォーズスタートの年。政治的には米ソデタントか。宇宙のフロンティアや人類という存在に対する希望を、鮮やかに描くラストには、ちょっと虚をつかれた。フィクションの力は、やっぱり凄い。池央耿訳。(2008・7)
「星を継ぐもの」J・P・ホーガン 辻斬り書評
« 「ロシア・ロマノフ王朝の大地」 | Main | 「ウォッチメイカー」 »
図書館から借りてきて、今読んでいる本の次に読もうと思っています。
SFとしてかなり有名らしいので、ちゃんレンジ。
Posted by: 美結 | July 13, 2008 03:58 PM
コメント有り難うございます。
いやー、結構難しかったんですけど。
読んでよかったですよ。本当に。
Posted by: COCO2 | July 13, 2008 09:42 PM
こんにちは。
最後の謎解きでは、本当に体が震えました。
素晴らしいSFであると同時に素晴らしいミステリですね。
Posted by: 木曽のあばら屋 | July 17, 2008 11:06 PM
木曽さん、お越し頂き有り難うございます。
古さを感じさせない小説でしたね。
有力国で「ソヴィエト」がでてきましたけど。
Posted by: COCO2 | July 18, 2008 08:12 AM