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May 16, 2008

「悪人」

道の両側には本屋やパチンコ屋やファーストフードの大型店が並んでいる。どの店舗にも大きな駐車場があり、たくさん車は停まっているのに、なぜかその風景の中に人だけがいない。

「悪人」吉田修一著(朝日新聞社) ISBN:9784022502728 (402250272X)

福岡市と佐賀市を結ぶ263号線。2001年の年末、人気のない雪の峠道で、保険外交員の女性が命を絶たれた。被害者、加害者、容疑者、その家族、友人たち。果たしてだれが、悪人なのかーー。

ワイドショーであれば3日で「消費」してしまいそうな、平凡な殺人事件。その顛末を、複数の関係者の視点から丁寧にたどる。構成から「模倣犯」(宮部みゆき著)を思い出すという声もあるが、印象はずっとずっと地味ではないだろうか。登場人物が一様に幸薄くて、いじましいのだ。それなのに、目が離せない。

脇役に至るまで、人物像に違和感がないからだろうか。ああ、この人はこんなことをしてしまいそうだーー。「女たちは二度遊ぶ」(角川書店)を読んで、短編が上手な作家だと感じていたけれど、短編の印象そのままの隙の無さで、420ページをどんどん読めてしまう。

結末は、そういう「いかにも、してしまいそうなこと」が絡み合った先にある。決して驚くようなものではないし、すかっと割り切れもしない。でも、だからこそ、ページを閉じたとき、まるで登場人物の誰かと同じ景色を見ていたような、なんとも切ない感じが胸に残る。

例えば中盤で登場人物がふと思い浮かべる、地方都市の無個性でうらさびしい風景。開発の失敗とか、所得格差とか、そういうことではなく、そんな風景を思い出してしまう心の空白のようなもの。そして出会い系で知り合った顔も知らない相手に、思わずメールを送るのだ。「最近、だれとも話しとらん」ーー。地味でいじましいのに、不思議な量感のある物語。大佛次郎賞、毎日出版文化賞受賞。(2008・5) 

『悪人』_吉田修一  私はこんなものを読んでます。
悪人 吉田修一  リトル・バイ・リトル
「悪人」 読書物語335

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Comments

「悪人」読み終えました。
先ほどです。でブログに何をどう書いたらよいか暫く迷ってしまい、風呂に入ったりして時間をずらして記事をup後、こちらに訪問したら「悪人」の記事ありましたので拝読したところです。
参考になりました。
読後どんな風に書いたらよいか迷って、
迷って(大したことを書けないのですが…)時間がどんどんなくなるんです「ふーこ」は。


トラバありがとうございました。
ブログにも書きましたが、COCO2さんに教えていただいて読みました。

一気に読み終えてしまう一冊ですよね。

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