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April 18, 2008

「眼の誕生」

過去に対する解釈に欠けているものがある。それは色彩である。

「眼の誕生」アンドリュー・パーカー著(草思社) ISBN:9784794214782 (4794214782)

英、豪で活躍する研究者が、カンブリア紀大進化の謎に対する答え、「光スイッチ説」を提起する。

カンブリア紀の爆発といえば、何といってもスティーブン・ジェイ・グールド著「ワンダフル・ライフ」(ハヤカワ文庫)だ。化石から再構築される摩訶不思議な生物。進化の意外性に触れた、あの興奮は忘れられない。わき上がるのは、「こんな生き物がいたのか!」という素朴な驚き。本書はその驚きの世界に、新たに「色彩」を施し、ぐっとリアルに感じさせてくれる。

やがて、そんな色をとらえる器官、「眼」の成り立ちに話は及び、「生命史上初めての眼」が見た世界を描き出す。「眼以前」と「眼以後」の格差は歴然だ。決してライトな読み物ではないし、論証されている仮説の確からしさも素人には判別できない。けれども、色とか、眼とか、「あって当たり前」のものがどこから来たのか、に思いをはせるひとときは刺激的だ。渡辺政隆・今西康子訳。(2008・4)

眼の誕生  竹蔵雑記

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