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September 15, 2007

「反転」

いま振り返ると考えられないが、あのころは一万円が百円のような感覚でしかなかった。
 いちど東京へ向かう新幹線のなかで、一〇〇〇万円の現金を入れたバッグを盗まれたことがある。しかし、さほど惜しくはなかった。

「反転」田中森一著(幻冬舎)  ISBN:9784344013438 (4344013433)

「闇社会の守護神」と呼ばれた弁護士が告白する、激動の半生。

〇七年前半を代表する話題本を読む。貧しい漁村からバブルの頂点へ。「正義の味方」の特捜検事から、悪名高い山口組組長や仕手筋に味方する弁護士へ。著者のたどってきた道は、良くも悪くも、あまりに落差が大きい。その落差が、何らかの平衡感覚を失わせたのだろうか。

著者はついに、古巣の検察に指弾される身の上となった。自らの行動の背景として、検察という官僚組織への失望や、裏社会の住人たちへの同情を語る。決して共感はできないし、もちろん真実をすべて語っているわけではなかろうが、数多くの経済事件に関わった当事者としての証言録はやはり、貴重なものだろう。「バブル紳士」や政治家、官僚が次々と実名で登場。その欲にからめとられたふるまいは、驚くべきものだ。(2007・9)

「反転 闇社会の守護神と呼ばれて/田中森一」 読書@生活

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