「探偵ガリレオ」
「面白いことを教えてやろう。アメリカで、UFOを目撃したという人の話を徹底的に分析してみたところ、九十パーセント以上が何かの見間違いであると判明したそうだ。しかもその中で最も多いのは、なんと天体をUFOと見間違えたというものだった。特に多いのは金星だが、中には月をUFOだと思ったという人間さえいる」
「探偵ガリレオ」東野圭吾著(文春文庫) ISBN:9784167110079 (4167110075)
「予知夢」、直木賞受賞作「容疑者Xの献身」につながる〈探偵ガリレオ〉シリーズの第一短編集。ドラマ化に先立ち、ほぼ5年ぶりに再読してみた。
友人の草薙刑事が持ち込む難事件を、気鋭の物理学者、湯川学が解明する。湯川がおおっぴらにガリレオと呼ばれ始めるのは、意外にも最後の五編目。そうだったか。
探偵と銘打っているが、謎解きありき、ではない。あくまで「突然燃え上がる頭」といったメディアが飛びつきそうな怪奇現象が怪奇でも何でもないことを、科学知識を駆使して種明かしすることのほうに主眼がある。それが結果的に、犯人探しにつながる仕掛けだ。怪奇現象を生むのは、怪奇をみたいという人間の心理ーー。合理性を重んじるエンジニア出身としての、著者の面目躍如といえるだろう。
散りばめられた「理科の実験」シーンも、映像的で楽しい。このあたりは「文系」のミステリ読者に対する、著者独特のサービス精神にも思える。
だが、それだけに終わらないのが、また著者らしく、うまいところ。「予知夢」同様、それぞれ短編なので非常におさえめだが、その少ない行数の中にちらりと、犯罪に至ってしまう人間の愚かさや哀しさをにじませていて、余韻を残す。
ドラマのキャスト、福山雅治ではなく「本当」の湯川のモデル、佐野史郎さんが解説を書いているのがご愛敬。さらなる東野ブームがくると、ファンとしては嬉しいな。(2007・8)
「探偵ガリレオ」東野圭吾 本を読む女。改訂版
探偵ガリレオ/東野圭吾 ☆読書の森☆

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