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July 01, 2007

「始皇帝陵と兵馬俑」

重心をかけるかかと部分とつま先部分に突起が多く、土踏まず部分に少ないのは非常に理にかなっている。地下の兵馬俑坑に入れる俑は、埋められた後は誰が見るものでもないのに、なぜここまでリアルに表現しなければならないのだろうか。

「始皇帝陵と兵馬俑」鶴間和幸著(講談社学術文庫)  ISBN:9784061596566 (406159656X)

始皇帝陵研究の第一人者が熱く語る、兵馬俑8000体という地下帝国の驚異と、最初の統一中国の姿。

壮大なスケールと共に、細部の描写が興味深い。例えば膝をついた俑の靴裏に施された、滑り止めの突起。現代にも通じる実用性と、きめ細かい表現力が読み取れる。2200年以上も前の技術と情熱に、ただただ圧倒される。

短命な「秦」の歴史をひもとくくだりは、地名などの知識がないと理解するのに難しいところも多々ある。しかし、面白さが減じるものではない。戦闘での騎馬の活用や、道路、治水など国家建設の試み。著者は、司馬遷らあまりに著名すぎる歴史家のフィルターを通さず、新たな発掘などから国家の実像に迫ろうとする。歴史を読み解く興奮は、ローマ帝国史も彷彿とさせる。

巻末に詳細な兵馬俑坑ガイド付き。(2007・6)

対談 「古代中国の魅力を語る」  ぱんどらの箱

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